記事一覧

レアメタルについて

~新興国の需要拡大を背景に、インジウムやリチウムなどレアメタル(希少金属)をめぐる国際的な資源争奪戦が激化し、価格が高騰している。これらの金属を多く含みながら廃棄される携帯端末などは、「都市鉱山」として注目される。だが、国内には効率的な回収システムが整備されておらず、貴重な“国産”資源が、中国からの買い付け業者などに流れるケースも多い。(MSN産経ニュース 『三菱マテリアルがお台場に都市鉱山 廃棄携帯電話など回収施設新設 レアメタルを掘り当てろ!』(2008.7.21 18:40))~
 
 
 レアメタルと聞いてみなさんはどんなものを思い浮かべますか。鉄とか銅といったありふれている金属ではないだろうなとは想像できると思います。しかし、具体的にどのようなものなのか、どういう状況におかれているのか、そう聞かれると意外とわからない人が多いのではないでしょうか。そこで今回はレアメタルについて紹介したいと思います。

 レアメタルとは、その存在が稀であるか、その抽出が経済的・技術的に非常に困難な金属を総称したものです。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)では、47種類もの金属をレアメタルとしています。(下の図の色のついた元素がレアメタルと定義されている元素です)(文中では具体的なレアメタルの元素を太文字表記します。)

 周期表
ファイル 13-1.jpg

 より具体的には
  (1)存在量が少なくて地理的に偏在しているもの
 (2)量はあるが需要が偏在するために経済的に採算がとれないもの
 (3)量はあるが技術が偏在するというもの
 (4)供給国の方針によって人為的な偏在を余儀なくされるもの
とのどれかに該当するものと定義できます(中村繁夫著『レアメタル資源争奪戦』(日刊工業新聞社)による定義)。

 レアメタルは「産業のビタミン」とか「産業のアキレス腱」とか呼ばれていますが、実際どのようなものに使われているのでしょうか。例えばインジウム(In)というレアメタルは携帯の画面のような液晶ディスプレイに使われています。またパソコンや携帯電話のバッテリーとしてコバルト(Co)を含んでいるリチウム(Li)電池があります。このように日本の誇る先端工業に欠かせないものとなっています。それに伴い、現在ではレアメタルは高機能性材料の総称として呼ばれるようになっています。みなさんもこのような認識だったのではないでしょうか。
 
 
 現在、日本はほとんどのレアメタル資源の80~100%を輸入しています。その産地は中国、ロシア、南北アメリカ諸国、そして政情不安なアフリカ諸国に偏在しています。加えて、各国の資源ナショナリズム⋆¹の高まりによって、供給不安定が付きまとっています。また、市場規模が小さいため、投機の影響を受けやすく、価格高騰しやすいという事情もあります。それならば石炭や銅のように政情不安定でない国の鉱山に直接出資して経営すればいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、レアメタルについてはこれまでそのような動きはほとんどありません。

 ただ、日本では最近になって、外交を通じてレアメタルを安定確保しようとしたり、国内鉱山の開発に着手したりする動きがみられます。また、記事のようにリサイクルで都市鉱山⋆²から資源を回収しようとする動きもあります。これからもこれらの動きは活発になって行くでしょう。
 
 レアといいつつ、身の回りに意外とあるのがレアメタルです。今、私達が使っているパソコンもレアメタルの塊ですね。

⋆¹ …自国の資源を自国で管理・開発して行こうとする動きのこと
⋆² …都市で廃棄される家電製品には有用な資源が多く含まれており、それを鉱山として例えたもの


文責 高岡隆行

<参考文献>
中村繁夫著 『レアメタル資源争奪戦』(日刊工業新聞社)

--------------------------
人気blogランキングへ←ここをクリックしていただけるとうれしいです!

かたくなるフシギな液体

みなさんは泥などをおだんごのようにして遊んだことはありませんか?手の中で丸く握り、手を開くとそこには丸く固まったおだんごがあるはずです。しかし今回皆さんにご紹介するのは、普段はドロドロな状態なのにも関わらず、握った手の中ではおだんごになり手を開くとまたドロドロになってしまうという現象です。
 それでは手の中でおだんごをつくるのと手を開く、この二つの間にどんな違いがあるでしょうか?それは外から力が加わっているかいないかです。つまり力が加わっていないときはドロドロしており、力を加えたときだけかたくなるということです。このような現象をダイラタンシー(dilatancy)現象、または膨化(ぼうか)といいます。
 このような現象を起こすドロドロの液体とはいったいどんなものなのでしょう。実は家の中にある片栗粉と水、これだけで簡単に作ることができます。およそ一対一の割合で片栗粉と水を混ぜ合わせるとドロドロとしてきます。割合を微調節すると、ダイラタンシー現象を示す液体ができます。
 ではなぜこのような現象が起こるのでしょうか?その原因は水の中にある粒にあります。下の図を見てください。
ファイル 12-1.gif
ダイラタンシー現象を示すような液体には、上の図のように水の中の粒がたくさん入っています。この状態は粒と粒との間に水があり、水が潤滑剤のような働きをすることで、粒は動きやすい状態にあります。よってこの液体を傾けたりするとドロドロと流れます。

次はこの状態に力を加えてみましょう。
ファイル 12-2.gif
上の図のように上から力を加えたとしましょう。すると力が粒のまわりから水が押し出され、その部分の粒と粒の間には水がない状態になります。
ファイル 12-3.gif
粒と粒の間に水がない、つまり潤滑剤を失った粒は摩擦力が大きくなり、お互いに動きの邪魔をしあうようになります。すると力を加える前までドロドロとしていましたが、このときはドロドロの状態ではなくなります。よって力を加えた手にはかたいという感覚を受けます。手の中でおだんごがつくれる理由はこのようなことだったのです。
ファイル 12-4.gif
そして力を加えるのをやめると水が抜けた部分にまた水が入ってきます。するとかたくなった部分の粒と粒の間に潤滑剤が戻ってくるので、また最初のようなドロドロの状態に戻るというわけです。
 このとき注目してもらいたいのは、力の変化を与えなければ、かたくはならないということです。先ほどの例だと力を加えたときだけはかたくなりますが、そのまま手を置いておくとやわらかくなります。つまり同じ力を加え続けてもかたくはならないということです。しかし、一度手を戻しまた同じ力で叩くとかたくなります。つまりこの液体の上に座ることは出来ませんが、足踏みなどをすることで沈まないようにすることは出来るわけです。
 この現象の鍵となるのは粒の大きさです。片栗粉は粉の中でも粒が大きめで、粒と粒の間の摩擦力が強いのでこのような振る舞いをします。ただ小麦粉で同じものを作ろうとすると、グルテンが生成されて、粘土のようなものになってしまいます。
いろいろと説明してきましたが、この現象を是非自分で体験してみてください。触ってみればその不思議さが体験できます。

文責 小川将司

<参考文献>
D.H.Everett著 間 集三 監訳 『エベレット コロイド科学の基礎』(化学同人)

--------------------------
人気blogランキングへ←ここをクリックしていただけるとうれしいです!

北大でこん虫みぃ~つけた!-エゾイトトンボ- 

身近な科学ということで、今回は北大の構内で今までに見つかった昆虫のなかから、エゾイトトンボという昆虫を紹介します。

皆さん、イトトンボという虫をご存知でしょうか?
イトトンボとは、その名の通り体が糸のように細いトンボのなかまで、北海道では12種類見つかっています。(イトトンボのなかま以外にも体の細いトンボがいます。)蛍光色のカラフルな姿をしていますが、華奢な体つきのため、目を凝らさないと見つけられないかもしれません。

エゾイトトンボ(学名Coenagrion lanceolatum SELYS)は体長3cmほどの、水色や、黄緑色をしたイトトンボです。植物のたくさん生えた沼などに棲みます。成虫は5月下旬から8月中旬の間見ることができます。

ファイル 8-1.jpg

北大構内では、今年の5月8日に遺跡保存庭園で見つかりました。おそらく近くの川から飛んできたようです。他にも、花木園の沼や、大野池でもイトトンボを見ることがあります。珍しい種類ではないので、家のそばの公園など身近なところでも、水草の茂った池があれば見つかるかもしれませんよ。

ファイル 8-2.jpg

おまけ ~ハートのつながりトンボ~
秋に、つながったトンボを見たことはありますか?実はあれは、オスとメスが交尾をしているところです。
イトトンボの交尾を見てください。

ファイル 8-3.jpg

ハート型につながっているように見えませんか?

文責 刀禰浩一

--------------------------
人気blogランキングへ←ここをクリックしていただけるとうれしいです!

虹の科学

みなさんは、虹を見たことがありますか?大半の方が見たことがあると思います。もちろん私も見たことがあります。今回私はどのような仕組みで虹ができるのかという身近な疑問について調べてみました。

虹といってもたくさんの種類が存在します。私たちがよく見る虹のことを主虹といいます。時々副虹という虹を同時に見ることができます。では、主虹はどのようにしてできるのでしょうか?
虹ができるために必要な条件を考えてみましょう。虹は、雨や夕立の後の空や、滝のように水の多い場所で見ることができます。そして、もうひとつ重要な条件が存在します。それは太陽の光です。虹の生成には水滴と太陽の光が必要不可欠なのです。それでは、どのような現象により虹ができているのでしょうか?
虹は光の屈折現象によってできます。
具体的には、次の現象が起こるために虹が7色に見えます(図1を参照してください)。
             ファイル 6-1.jpg

光が進み水滴に当たり屈折して水滴内に入ります。このときに色によって波長が異なるため色ごとに別々の順路をたどります。そして光は、水滴の内側の壁(水面)に当たります。このとき、主虹の場合は水滴内部で1回だけ反射します。反射した光が違う経路で進んで行きます。水面に来ると、屈折して光がでていきます。このときに水滴が光を屈折させる場合、光の色(=波長)によってどのくらい曲げるかが変わるので、入ってきた時に色はみんな一緒だったのに出て行くときはみんな色ごとにバラバラにされてしまいます。この現象のため7色の光が見えます。

このときの色に関してですが、波長の長さによりそれぞれ異なる角度で屈折するために、人間の目に入ってくるのは外側が赤、内側が紫といった感じの虹色に見えます(図2参照)。
             ファイル 6-2.jpg

次に、虹の見え方について考えていきます。虹という現象は、前述の通り太陽と反対側に浮かぶ水滴(雨粒)がプリズムの役目を果たすために見ることができます。このときに色が分かれます。そしてこのとき、視半径(「太陽」-「プリズムとなる水滴」-「観察者」 )が40~42度となる円弧の部分に主虹がみることができます。(図3参照)。
             ファイル 6-3.jpg

ところで、時々主虹といっしょにもう1つ虹が見えることがあります。この虹のことを副虹といいます。副虹の場合は、水滴の中で2回反射した後に屈折して外に出てきます。そのため色の上下がさかさまになります。しかし、2回反射するため色は薄くなります。 また、副虹は主虹の外側にできます。そして、副虹の場合、視半径は、50~52度となります(図4参照)。

そのほかにもいろいろな種類がありますが調査次第更新していきたいと思います。
             ファイル 6-4.jpg

<参考文献>
村松照男、田村正隆著『図解雑学 気象の仕組み』(ナツメ社)
富永靖弘著『気象・天気の仕組み』(新星出版社)


--------------------------
人気blogランキングへ←ここをクリックしていただけるとうれしいです!

ヘリコプターの原理

皆さんは子供の頃に竹とんぼで遊んだという経験はありますか?
私は、幼少の時遊んだことがあって何度か蛍光灯にぶつけて壊したことがあります。

そこで、今回は竹とんぼの飛ぶ仕組みについて話したいと思います。そして、ヘリコプターの飛ぶ仕組みについても話そうと思います。

まず、何故竹とんぼが飛ぶのか? この理由は飛行機が飛ぶ仕組みと同じです。そして、この仕組みはヘリコプターも同じです。
物が空へ飛ぶためには揚力という力が必要です。揚力とは『飛行機の翼のような薄板を流体中で動かすときに、進行方向に対して垂直・上向きに働く力』(広辞苑より引用)です。流体とは、気体と液体との総称のことです。
どうすれば揚力を作ることができるのでしょうか?ここで、台風の中で板持って飛ばされないように耐えている人を思い浮かべてください(aとbとcの図を参照)。
ファイル 5-1.jpg

aの場合は、板の全てを使って風を受けています。よって、飛ばされずに後ろへと流されていくようになります。bの場合は、風と完全に同じ方向に板を持って、風を受けています。この場合、板自体は風の力の影響を受けません。動くとしたら、aと同じように後ろへと押されていくだけでしょう。(現実にこのような持ち方をするのは難しいでしょう)ところが、cの持ち方はどうでしょう。cの場合であれば、板が鉄のような重いものでない限り風を受けて飛んでいく事が想像できると思います。なぜこのような事がいえるのか、もっと細かく考えて見てみよう。
ファイル 5-2.jpg

板に対して働く力をみてみましょう。(台風の風には色々な方向がありますが、簡単に考えるために一方向からしか吹いていないとします)板が受ける力は絵のように2つ方向に分けられます。横方向の力は抗力と呼びます。上方向の力が揚力です。このようにして、板の方向を傾けるだけで揚力を得ることができるようになります。
しかし、ここで注意して欲しいことがあります。もしも板を傾けすぎてしまうと飛ぶことのできる十分な揚力は得られなくなります。理由を考えてみましょう(図を参照)。
風からの力は揚力と抗力に分かれます。傾けていくことで、揚力は大きくなっていきます。しかし、ある角度の時点で突然、抗力の影響が揚力より大きくなります。すると、揚力は小さくなって行き、やがて飛べなくなります。
よって、傾きをつけるときは一番飛びやすい角度を見つけることが大事です。単純に傾ければ良いというわけではありません。
揚力は板が風を受けることで生み出すことが出来ます。竹とんぼが飛ぶ原理も同じです。プロペラが何度も何度も風を切ることで揚力が働き、飛び続けることが出来るようになるのです。
ヘリコプターも同じようにプロペラの一枚一枚が揚力を起こすことで飛び続けることが出来ます。
しかし、ここで問題があります。竹とんぼで遊んだことのある人はわかると思いますが、竹とんぼを回すと軸、つまり竹串も同時に回ります。ヘリコプターも同じ原理で動いています。でも、竹とんぼと同じ様に考えると機体も激しく回転してしまうことになります。そのため、ヘリコプターにはこれを防ぐための装置が尾部に設置されています。装置にも様々な種類の物がありますが、基本的には機体が回転する方向とは逆方向に空気や圧力を噴射することで機体の回転を防いでいます。

これらを踏まえて考えると、ドラ●●んに出てくるタケ○○○―という道具をつけると、つけた人は飛べる代わりに自分も一緒に回転してしまうのです。今度見る機会があれば、少しこんなことも考えてみてください。
ファイル 5-3.gif

<参考文献>
『航空工学入門(改訂第4版)』(社団法人日本航空技術協会)

--------------------------
人気blogランキングへ←ここをクリックしていただけるとうれしいです!

なぜ氷の上は滑るの?~氷の科学

2月に入り、ここ札幌の冬はますます厳しくなっています。最高気温が0℃ないのも当たり前です。今年は暖冬と言われますが、あまり実感できないものです。

その寒さ故か、北国の気候では様々な問題が起こります。その一つに路面の凍結があります。路面の凍結は(あの悪名高い!) アイスバーンともいいます。気温が氷点以下になり道路面上の水分が凍りつくことで凍結が生じます。このため、冬になると車のスリップ事故や歩行者の転倒事故が数多く起こってしまいます。札幌市では機械除排雪、凍結防止剤の散布、砂箱設置による安全対策をしていますが、問題の解決は難しいようです。

つるっと滑って転ばないためにも雪道を歩くときには足元に注意しなければいけません。しかし、ここである疑問が。なぜ凍った路面で滑ってしまうのでしょうか?どんなに注意してもツルツルの氷の上では簡単に滑ってしまうことが多いでしょう。一見理屈は簡単そうに見えても、説明するのは難しいのではないでしょうか?では、これから科学の世界から氷を眺めてみることにしましょう!

科学の世界では昔から氷について様々な研究がなされていて、最近になって新種の氷が発見されていたりします。「なぜ氷の上で滑ってしまうのか」今までこの問題についても様々な説が考えられてきました。ここでは「圧力融解説」「摩擦熱説」「凝着説」という3つの有力な説を紹介していきます。

まず1901年にイギリスのレイノルズが圧力融解説を発表しました。圧力のために氷が融解し、解け水が軟滑剤の働きをするというものです。これには氷の「圧力によって融ける温度(融点)が下がる」性質が用いられています。この説は一見理にかなっているようです。しかし、後になってこの理論には大きな欠陥が見つかりました。例えば平均的な体重の男性がスケートに乗った場合、片足で15気圧ほどになります。氷は1気圧の圧力を加えるごとに融点が0.0075℃ずつ下がるので、この場合には氷の温度が-0.11℃より高くなければ氷はよく滑らないことになります。しかし実際は-5℃でも-10℃でもスケートはよく滑ることは明らかです。よってこの説だけでは説明不足となります。

この説に対し、1936年に「解け水は圧力でなく摩擦熱によって生じる」とケンブリッジ大学のバウデンとヒューズが摩擦熱説を発表しました。滑り台で滑った後、お尻が熱くなったことはありませんか?あれは摩擦熱が原因です。彼らはスキーを使って多くの実験をしてその説に至りました。スキー板と氷が生じた摩擦熱により滑るのではないかと。しかし後の実験で「速度が速ければ速いほど滑りやすい」という彼らの主張にも矛盾が見つかり、この摩擦熱説も学者の一部から疑問の声が上がっています。

他にも接触面でお互いの表面の原子の結合力により固体同士がくっつくことで滑る、凝着説があります。しかし有力であっても、この問題は未だに解決されていないのです。

結論を言いますと、氷の上で滑る原因ははっきりとは分かりません。しかし、研究途中ということもあるので、新たな進展がありましたら報告しようと思います。また、最初に路面凍結について記しましたが、雪や氷は悪い面ばかりでなくウインタースポーツを楽しめるといういい面もありますよね。これを機に身近な氷や雪の科学について考えてみてはどうでしょうか?

<参考文献>
前野紀一著『新版 氷の科学』(北海道大学図書刊行会発行)

---------------------
人気blogランキングへ←ここをクリックしていただけるとうれしいです!

ラジオ放送のしくみ ~なぜ電波で音を伝えられるのか?~

皆さんの身近にあるラジオ。仕事や勉強をしながらラジオを聴くという方や、好きな番組を録音して楽しむという方もいらっしゃることでしょう。
ラジカセのスイッチを入れて周波数を合わせると、いつも聞いている番組が・・・。ここでちょっとした疑問です。ラジカセは、何を受けて音を聞くことができるのでしょう?
それはもちろん電波なのですが、今私たちが聞きたいのは「音」です。では、ラジオ放送は、「音」をどのように電波に乗せているのでしょうか?

そもそも音というのは、空気の圧力の変化が振動となって伝わる波です。人の聞くことのできる音とは、振動数が20~2万Hzの音波です。
振動数というのは、波を伝える空気などの媒質が1秒間に何回振動したのかを表していて(単位はヘルツHz)、音波の場合は音の高さに関係しています。電波や交流電流の場合、振動数を周波数とも呼びます。

これに対し電波とは、電磁波と呼ばれる波の一部です。電磁波は、その名の通り電気的であり磁気的でもある波で、空気など物質のない真空中でも伝わります。電磁波はその周波数によって性質が異なり、光やX線なども電磁波の一部です。電波とは、電磁波のうち周波数が300万MHz以下のものを指します(Mはメガと読み100万倍を表します。つまり、1MHz=100万Hz)。

このように、音と電波はどちらも波なのですが、性質や周波数がまったく異なる波です。そのため、電波を使って音の信号波を運ぶためには、2つの波を上手に組み合わせなければなりません。
ラジオ放送で、音の信号波と音を運ぶ電波の組み合わせの仕方には、大きく分けて次の2つがあります。

1つは、図1のように、電波の振幅を音の信号波に対応させて変化させる方法です。このような方法は、電波の振幅を使って音を運ぶので、「振幅変調」と呼びます。「振幅変調」とは聞きなれない名前ですが、ラジオのAMとは、これを英語で表したAmplitude Modulationから来ています。

そしてもう1つは、振幅を変えずに、電波の周波数を信号波に対応させて変化させる方法です。電波の周波数を変化させるというのは、図2のように、音の信号波に合わせて、波の山と谷の間隔を粗くしたり密にしたりすることです。周波数を変調しているので、この方法を「周波数変調」と呼び、英語のFrequency ModulationからFMと呼ばれています。

ラジオのAM、FMとは、音を電波で運ぶ方法のことだったのです。
ファイル 1-1.jpg ファイル 1-2.jpg

このように、音は、AM波やFM波という形で電波に組み合わせることで、遠くまで運ぶことができます。
放送局から届いたAM波やFM波をラジカセで再び音に変え、ラジオ放送を聴くことができるのです。

ファイル 1-3.jpg

<参考文献>
中山 章著『ラジオ・テレビのABC』(オーム社)
山本明利、左巻健男著『新しい高校物理の教科書』(講談社ブルーバックス)
浅見伴一著『図と式で理解する FM入門』(財団法人 電波振興会)

-------------------------
人気blogランキングへ

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ