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立春の卵

こんにちは、NSIの二世です。

昨日、2月3日は節分でしたね。
豆をまいたり、恵方巻を食べたりした方も多いのではないでしょうか。

そして翌日の今日、2月4日は立春です。


ここでひとつ、立春に関する噂をご紹介します。

「立春の時には(普段立たないはずの)卵が立つ」

というものです。

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中谷宇吉郎先生の著作『立春の卵』では、この噂に科学的アプローチで挑みます。

「立春の時に卵が立つという話は、近来にない愉快な話であった」
という文で始まるこの作品では、以下のような流れで中谷先生が「卵が立つ」という現象を解明していきます。

しかし、どう考えてみても、立春の時に卵が立つという現象の科学的説明は出来そうもない。
(中略)
今日にでもすぐ試してみることが大切な点である。
(中略)
朝めしの時にあの新聞を読んで、余り不思議だったので「おい、卵があるかい」ときいてみた。幸い一つだけあるという話で、早速それをもって来させて、食卓の上に立ててみた。


詳しい内容は中谷先生の文章を読んでもらうのが一番なので省略するとして、(『立春の卵』は青空文庫で読むことができます。記事末尾にリンクがあるのでぜひ読んでみてください!)

結論だけ書くと、「卵というものは立つものなのである」…のだそうです。


私は昨年末の「科学豆知識アドベントカレンダー2」で、中谷先生の雪の研究について簡単に紹介しました。

雪を作る話 ~北海道大学で中谷宇吉郎を巡る~
http://tehiro.sakura.ne.jp/studyaid/diary.cgi?no=58


この記事を書く過程で、雪の研究で有名な中谷先生の著書には、他にもまだまだ面白いものがたくさんあるということを知り、それを伝えたいと思うようになりました。

そこで12月某日の科学勉強会にて、『明日話したくなる中谷宇吉郎』と題して『立春の卵』の話を紹介したところ、早速その場にいるメンバー全員で卵を立ててみることになったのです。

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いい大人が揃って真剣に卵を立てようとする姿…なかなか面白いです(笑)

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すると開始3分で、いきなり1人目が成功!

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その後も、次々と成功していきました。

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20分ほど挑戦した結果、その場にいたほぼ全員が卵を立てることに成功しました。

全員、卵を立てたのは人生で初めての経験で、大いに盛り上がりました。


こんな風に事実を知ってしまうと、冒頭で紹介した「立春の日だから卵が立つ」という噂はとても滑稽なものに思えます。
卵が立春でなくても立つのであれば、この話題を立春の話題とする必要はありません。

しかしながら、我々は今回この噂をきっかけとして「多くの人ができないと思い込んでいるからできない」という事象がとても身近なところにあるのだということを知ることができました。
単に「卵は立つ」という事実を示されるだけではなく、「立春の日だから卵が立つ」という不思議な仮説があったからこそ、その内容に興味を持ち、そこに秘められた真実に感動することになったのです。
中谷先生も「これくらい巧い例というものは、そうざらにあるものではない。」と書いています。

というわけで、今日はぜひ「立春といえば、こんな話があるの知ってる?」の言葉をきっかけに、周りの人達と一緒に卵を立てて、科学する心を育んでみましょう!


参考文献
中谷宇吉郎「立春の卵」(青空文庫で読めます!)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/53208_49866.html

公開発表会!

こんにちは。NSIの岩山です。

今日は「公開発表会」を紹介したいと思います。

公開発表会とは、普段の活動の「勉強会」からスピンアウトした企画です。
普段は基本的に固定メンバーでお互いに発表し合って、プレゼンテーション力を磨いたり、知識を深めたりしているのですが、せっかくなので「他の人にも発表を聞いてもらいたい」「こっちの世界に引き込みたい」ということで、「じゃあ公開しよう」となって始まりました。

ここでは初めて紹介しますが、実は去年の12月から始まり、だいたい3か月に1回くらいのペースで開催しています。
NSIのウェブサイトでも、概要を紹介しています。


先日8月9日(土)には第4回公開発表会を開催し、普段参加されていない方にも来ていただいて、好評のうちに無事終了することができました。

第4回のテーマは「マックスウェルほうていしき」と「おいしいクッキーが食べたい!」。

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「マックスウェルほうていしき」は、『電磁気学の基礎の方程式についてなんとなくわかった気になる』ことを目標にした発表でした。
電気と磁気の関係を表すマックスウェル方程式について、発表者の大学での体験(単位を落とした(笑)そうです)も交えながらの内容でした。
見るからにとっつきにくそうなテーマをどうわかりやすく伝えるか、発表者が直前まで頭をひねって四苦八苦していたのが印象に残っています。
そのかいあって、目標は達成することができたようです。
来場者アンケートでも、『イメージは伝わった』『なんとなくわかった気になった』と評価をいただきました。

「おいしいクッキーが食べたい!」は、ひとつ目とはうってかわった身近なテーマでした。
クッキーのレシピに書いてある「薄力粉を使う」「切るように混ぜる」といった手順について、なぜそうする必要があるのかの解説と、実際にそれを守った場合、守らなかった場合のクッキーの出来の食べ比べを行ないました。
こちらの発表では、発表者が事前にクッキーを焼いてきたのですが・・・、その最中にアクシデント!が発生して予定していたうちの一部を用意することができませんでした。
鉄板ごと落下したそうです(泣)。
180℃の鉄板の前では救出もままならず、クッキーはあえなく床へ。
発表者に怪我がなかったのは不幸中の幸いですが、来てくださった方にはちょっと申し訳なかったです。
発表自体はテーマが身近だったこともあって、『これからは楽しみながらクッキーを作れそう』といった感想が聞かれました。

公開発表会は、今後も定期的に開催していく予定です。
開催が近くなったらまたお知らせするので、興味のある方は気軽にご連絡いただければと思います。

ではまた♪

科学勉強会報告:干支に関するエトセトラ

NSIのメンバーが主催する科学勉強会 (http://tehiro.sakura.ne.jp/nsi/about.html) では、2014年1月6日に3分プレゼン大会が開催されました。
3分プレゼン大会とは、参加者全員が3分程度のショートプレゼンを一斉に行うイベントです。今回は新年の干支にかけて「馬(午)」をテーマに8名のプレゼンターが発表を行いました。

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本記事では、これらのプレゼンの中から「干支」に関するプレゼンを1つ紹介したいと思います。


干支に関するエトセトラ

突然ですが、今年の干支(えと)は何ですか?
「午(うま)」ですね。

・・・だいたい合っているのですが、実は正確には違うのです。

今年の干支は「甲午(きのえうま)」です。

「午」は、みなさんよく知っている十二支(じゅうにし)の1つですが、「甲(きのえ)」という字が頭についています。甲は十干(じっかん)と呼ばれるものの1つです。


まず、そもそも干支とは何でしょうか。

干支は、中国を初めとした漢字文化圏において用いられる数詞(すうし)です。年・月・日・時間や方位、角度、ことがらの順序を表します。順序を表す数詞のことを「序数詞」と言いますから、干支は序数詞の一種です。
干支は、最初に述べたように十干と十二支の組み合わせで表現されます。そう、干支は十二支だけではないのです。


十干は10周期で、それぞれ1から10の数に対応しています。
十二支は12周期で、同様に1から12の数に対応しています。

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これらを次の図のように組み合わせます。

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1つ進むごとに、十干と十二支が1つずつ移動していくのがポイントです。

図のように3番目の干支は、十干が「丙(ひのえ)」で十二支が「寅」ですから、「丙寅(ひのえとら)」と求まります。

干支を年に当てはめる場合、西暦4年から数えるのが決まり事になっています。
今年西暦2014年は、西暦4年から数えて2011番目に相当し、
2011は(干支が巡り巡って)31番目の干支である「甲午(きのえうま)」に対応します。
だから2014年の干支は「甲午」なのです。


干支の周期と最小公倍数
いくつ進むと干支はもとに戻ってくるでしょうか。言い換えると、干支の周期はいくつになるでしょうか。

十干が10周期、十二支が12周期ですので、10×12=120 周期になりそうですが、実はそう単純ではありません。

このことは、十干を10周期分、十二支を12周期分の箱として図のように順に並べてみるとわかります。

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ここから十干6セット、十二支5セットで干支が一周することがわかります。
結局60周期ということですね。

さて、この 60 という数は何を表しているのでしょう。
数学的には、60 は 10 と 12 の最小公倍数です。
最小公倍数とは、互いに共通する倍数の中で最小のもの、のことでした。

10 の倍数と 12 の倍数がちょうど一致する数 (60, 120, 180, ...) だけ経過すると、干支がもとに戻ってきます。これは公倍数に相当します。
干支がもとに戻ってくる数 (60, 120, 180, ...) の中で最も小さい数 (60) が干支の周期ですから、たしかに最小公倍数が干支の周期と一致するはずですね。

ちなみに、60年のことを還暦といいますよね。これは60年で元の干支=還ることが由来です。


まとめ

今年の干支は「甲午(きのえうま)」です。干支は、十干と十二支の組み合わせで表せるのでした。数学的には、干支の周期は10と12の最小公倍数である60周期となります。
よかったら新年の話のネタにでもどうぞ。

ちなみに、甲子園は「甲子(こうし・きのえのね)」の年に作られたことが由来です。このように、干支が由来のものは結構あるので、探してみると面白いかもしれません。

以上、科学勉強会の辻がお送りしました。


おまけ:十干の覚え方
十干は普段あまり使わないのでちょっと覚えにくいですね。覚え方を紹介します。

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図のように前から順に2つずつ組にして考えます。
最初の組を「木」、次の組を「火」、以降の組を「土」、「金」、「水」とします。
それぞれの組の2つの十干を前から順に兄(え)・弟(と)と名付けます。
たとえば、木の兄ならば「きのえ」、木の弟ならば「きのと」といった具合です。
同様に以降、火の兄(ひのえ)・火の弟(ひのと)・土の兄(つちのえ)・土の弟(つちのと)と続いていきます。

「丙(ひのえ)」は「火の兄」と書きますが、文字通り火を象徴する干支です。特に「丙午(ひのえうま)」の年は、「火の兄」であり「午(猛々しいものの象徴)」であるため、「火」にまつわる災いが起きる年と言われています。

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