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雪を作る話 ~北海道大学で中谷宇吉郎を巡る~

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。


昨日に引き続き、今日もテーマは「雪」。
北海道大学で雪の研究といえば、中谷宇吉郎先生です。
今日は北大にある中谷先生ゆかりの建物を巡りつつ、中谷先生の行った雪に関する研究をごく簡単に紹介します。
(以下、敬称は省略させていただきます)


まずやってきたのが、北海道大学 低温科学研究所。
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中谷宇吉郎は、世界で初めて人工的に雪の結晶を作ることに成功しました。低温科学研究所は、そのことがきっかけで設立された研究所です。

その実験棟には、中谷宇吉郎の人工雪の発生装置のレプリカが展示されています。
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中谷宇吉郎はこの装置を使って、自然に観察できるほとんどの種類の雪の結晶を、人工的に作り出すことに成功しました。

その際、結晶の核としてウサギの毛を使用したことは有名な話でしょう。
ウサギの毛には所々に細かいこぶがあり、それが人工雪の結晶の核になるのにちょうどいいのだそうです。


ところで、「世界初の人工雪の結晶」が作られた時に使われていたのは、実はウサギの毛ではなく羅紗(ウール)の糸だったというのはご存知でしたか?

当時、人工雪結晶製作の実験には、佐藤磯之助と関戸弥太郎という2人の学生が取り組んでいました。
2人は同じ低温研究室で背中合わせになって、それぞれ人工雪の結晶作りに挑んでいました。

結晶の核としては、はじめの実験では木綿糸が使われましたが、糸のほぼ全面に結晶がついて団子状になってしまい、独立した結晶を作ることはできませんでした。
ここで佐藤が羅紗の糸を使って実験を行ったところ、糸の先端に扇形六花の結晶が成長しました。
これが世界初の人工雪結晶です。1936年3月12日のことでした。

しかし。

 佐藤は控え目な性格の人であったらしく、三月十二日にできた人工雪結晶も、多くの失敗作の中の偶然の産物とみて、すぐに宇吉郎に報告しなかった。
   ——東 晃「 雪と氷の科学者 中谷宇吉郎」p.24

2日後の3月14日、今度は関戸弥太郎が、防寒服の襟についているウサギの毛を使って実験を行い、こちらも毛の先端に六花の結晶を成長させました。

 関戸は低温室から理学部に走って宇吉郎を呼びにゆき、二人で”初めての”人工雪を見て喜んだ。
   ——東 晃「 雪と氷の科学者 中谷宇吉郎」p.24

つまり、中谷宇吉郎が初めて見た人工雪の結晶は関戸の作ったものであり、佐藤の作った結晶が世界初の結晶であると認められたのは、しばらく後のことでした。


これらの実験が行われた「常時低温研究室」は、低温科学研究所創立後はその分室となりましたが、1978年8月には取り壊されました。
その跡地に作られたのが、この記念碑です。
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場所は北大構内の、北11条のエンレイソウ(レストラン)の前になります。
雪の結晶を象った六角形の石に、関戸弥太郎によって書かれた「人工雪誕生の地」という文字が刻まれています。


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こちらは北海道大学の理学部本館です。現在はその半分ほどが総合博物館となっています。
中谷宇吉郎の教授室もこの建物にあり、初めに雪の結晶の観察が行われたのはこの建物の廊下の片隅だったそうです。

この総合博物館の1Fにも、中谷宇吉郎に関する常設展示があります。
人工雪発生装置や実際に撮られた雪の結晶の写真の他、中谷宇吉郎の研究人生を紹介したドキュメンタリーなどの映像資料も見られますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。


…と、このように「雪や氷の研究者」として紹介されがちな中谷宇吉郎ですが、彼の魅力はそれだけではありません。
例えば、中谷宇吉郎は科学をわかりやすく伝えるための手段として、多数の随筆や書籍を書いています。彼の書く文章はシンプルですが、科学的考察に満ちあふれ、読む者に「科学とは何か」ということを教え、また考えさせるきっかけを与えてくれます。

ここでは中谷宇吉郎の著作の中から、私が特に感銘を受けた部分を紹介して終わりにしたいと思います。
興味がわいた方はぜひ読んでみてください。

 しかしそれだけならば、虹はスペクトルの七色をもっているはずなのに、実際は赤と黄色とだけがひどく目立つ虹がしばしば現れる。それをよく見ないことがいけないのである。実際の虹をよく見ないで、虹は七色と思いこんでしまうのは科学の心に反していることなのである。 (中略)
 「虹は水滴の反射屈折によるスペクトル作用さ」と言って、それ以上実際の虹を見ない人がある。そういう人には虹の美しさは分らない。学問によって眼をあけてもらうかわりに、学問によって眼をつぶされた人である。
   ——中谷 宇吉郎 「虹」 (中谷宇吉郎集 第5巻 p.43)

 自然科学は、自然の本態と、その中にある法則とを探究する学問である。
 しかしその本態とか、法則とかいうものは、あくまでも科学の眼を通じてみた本態であり、また法則である。それで科学の真理は、自然と人間との協同作品である。 (中略)
 科学の真理が、自然と人間との協同作品であるならば、科学は永久に進化し、変貌していくものである。
   ——中谷 宇吉郎 「科学の方法」p.197

文章:二世


参考:
*東 晃「 雪と氷の科学者 中谷宇吉郎」北海道大学図書刊行会(1997)
*中谷 宇吉郎「中谷宇吉郎集 第五巻」岩波書店(2001)
*中谷 宇吉郎「科学の方法」岩波新書(1958)
*中谷 宇吉郎「雪」岩波書店(1994)
*太田 文平「中谷宇吉郎の生涯」学生社(1977)
*HU-OCW ウェブサイト
http://ocw.hokudai.ac.jp/Topics/IAI/Interview/Wakatsuchi/

雪は天からの手紙 〜雪の結晶の成り立ち〜

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。

今年のアドベントカレンダーでは、12/5からの5日間に「天気・季節」というテーマを設定していますが、この時期の札幌で「天気・季節」と言ったらやっぱり「雪」ですよね。
というわけで今日も昨日に続き、雪の話題をお送りします。

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そもそも、雪はどうやってできるのか知っていますか?
「雨が凍ったもの」だと思っている人はいませんか?

雨は上空にのぼった水蒸気(気体)が水滴(液体)になって降ってくるものです。
気体が液体になることを「凝集」といいます。
これに対し、気体が(液体の状態を経ることなく)固体になることを「昇華」といいます。
雪とは、水蒸気(気体)が昇華して氷(固体)になったもののことをいいます。

雨(または上空で溶けた雪)が上空で凍って降ってくるものは凍雨<とうう>といい、厳密には雪とは別のものとされます。


今日はさらに詳しく、雪の結晶の成り立ちを追ってみましょう。

雪ができるときに必要となるのが、その「核」となるものです。
上空では、空気中の塵の微粒子やイオンなどが核になります。

まず、核に水蒸気が凝着して(くっついて)「氷晶」になります。
氷晶は、いわば雪の赤ちゃんで、水晶のように頭の尖った六角柱の、極めて小さな結晶です。

この氷晶が地上へと落ちてくる間に、周囲の水蒸気が昇華作用で氷となって氷晶にくっついて、雪の結晶として成長していきます。

ちなみに霰<あられ>や雹<ひょう>は、氷晶に凝集した水の粒がついて凍り、塊になったものです。直径5mm未満のものを霰<あられ>、5mm以上のものを雹<ひょう>と呼びます。

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雪は上空で氷晶となり、中心から外側へと徐々に成長しながら地上に降ってきます。
その結晶の成長の仕方は、結晶が成長する瞬間の周囲の状態(気温と水蒸気の過飽和度)によって決まります。

つまり地上では、降ってきた雪の結晶の形を見ることで、その雪が通ってきた空の状態を知ることができるのです。
このことを、雪の結晶の研究で有名な中谷宇吉郎は「雪は天からの手紙である」という言葉で表現しています。

というわけで明日は、そんな中谷宇吉郎先生について熱く語ります!お楽しみに!


文章:二世(科学勉強会/NSI)

【参考】
*中谷 宇吉郎「雪」岩波書店(1994)
*気象庁 よくある質問集(雨・雪について)
 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq1.html

【関連記事(つづき)】
雪を作る話 ~北海道大学で中谷宇吉郎を巡る~
http://tehiro.sakura.ne.jp/studyaid/diary.cgi?no=58

踊る冬の電線

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。

12月も初週が過ぎ,いよいよ冬となりました.この記事を読んでおられる方がどこに住んでおられるかはわかりませんが,私が住んでいるところでは雪が降り積もっております.外に出ると道は白い雪で覆われており,足跡を残しながら歩くことになります.そして上を見上げると屋根だけでなく,電線にも雪が付着しているのが見られます.今日はこの電線についた雪が時に厄介な現象を起こすということについて書きましょう.

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着氷雪による電線への影響としてまず挙げられるのは重量の増加です.電線に雪や氷がつくと当然ですがその分重くなります.電線を支えているのは電柱,あるいは鉄塔ですから設計荷重を超える重さになってしまうとこれらの支持物が倒壊する危険があります.現に前の冬で着雪による電柱の倒壊事例があることが経済産業省の資料として報告されています.

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着雪で倒壊した電柱(Wikipediaより)

しかし「電線が雪で重くなる」というのでは明日話したくなるような豆知識ではないですよね.もちろん着氷雪による影響は加重だけではありません.時に雪国の電柱は「飛び跳ね」,「踊る」のです.

次の図のように,鉄塔の間に縦に並んで張られた3本の電線に雪がごっそりついている状況を考えましょう.雪は相当の重さになって電線は普段よりも下に引っ張られた状態になっています.

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ここで突然一番下の電線についていた雪が何かの拍子に一気に落ちたとしましょう.さて,どうなるでしょうか?実は雪が落ちた反動で,ゴムのごとく電線が飛び跳ねます.この現象はスリートジャンプといい,飛び跳ねの大きさは数mにも及びます.大きい鉄塔間を結ぶような電線は実は裸電線,つまり何も覆われていない銅の線であることが多いため,スリートジャンプの拍子に電線同士が接触してしまうといわゆるショートになってしまい,停電を引き起こす可能性があるのです.

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もっと奇妙な現象もあります.吹雪の日には一方向から雪が吹き付けられ,だんだん次のような形になっていきます.

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この形,飛行機の翼の断面に似てません?実は強風と相まって電線に揚力が生まれ,電線が激しく振動するのです.この現象をギャロッピングと言います."galopping power line"あたりで動画を検索すると翼を授けられた電線の様子を見ることができます.

いかがでしょうか?電線に雪がついているのを見るとわくわくしてくるようになってきませんか?

紅葉はなぜ色づく?

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。


皆さんこんにちは科学勉強会simatter です。

アドベントカレンダー、今日のテーマは季節、天気と言うことで
「紅葉」についてお話ししたいと思います。(北海道は雪が降ってしまいましたね−)

日本人の心を楽しませ、四季の移ろいを感じさせる紅葉。鮮やかな黄色、赤色。
どうしてあんな綺麗な色ができるかご存知でしょうか?

葉の中にはもともと、カロチノイド(黄色)、クロロフィル(緑)という色素が含まれています。クロロフィルは光合成を行なうための葉緑体に含まれている色素です。カロチノイドとクロロフィルでは後者の量が圧倒的に多く、このために葉は緑色に見えます。葉緑体は光合成を行い二酸化炭素と光から酸素と糖を作り出す重要な働きをします。

ところが秋になり日照時間の減少、気温の低下が進むと光合成の効率が悪くなるため
木は葉と枝の間に離層と呼ばれるコルク状の膜をつくり落葉の準備をします。
落葉は光合成により生成される養分が葉自体が消費する養分よりも少なくなり、生きていくために不利になるのを防ぐためと考えられているそうです。自然ってすごいですね。
すると根や幹からの水分・養分の供給が滞り、クロロフィルは新しく作られずに分解されていきます。カロチノイドはクロロフィルよりも分解されにくく、葉の中ではカロチノイドの割合が大きくなるため、結果として葉は黄色に色づきます。

では、赤色はどうでしょうか?
こちらは葉の中に残った糖の働きによって赤色の色素であるアントシアニンが生成されるためと言われています。離層が形成された後では光合成で出来た糖が葉の中に貯められた状態になります。そこに紫外線が照射されると糖が分解され、アントシアニンが生成されます。
ちなみに鮮やかな赤色になるためには以下のことが重要と言われています。
・光合成により糖がつくられること
・昼に作られた糖が消費されないために昼夜の寒暖の差が大きいこと
・葉が色づく前に枯れないため適度な湿度があること

また、なぜ木が葉を赤色にするかという理由ははっきりとはわかっていないそうです。
鳥がより実を多く運んでくれるよう、葉の温度を上げるため、抗酸化性を増し過酷な冬の環境に耐えるため等々…諸説あるそうです。


今日は紅葉はなぜ色づくかについてお話ししました!
おさらいです
・紅葉は葉の中の色素の割合が変化することで起こる
・夏まで:クロロフィル(緑色)が葉の中で支配的→秋:気温が下がりクロロフィルが分解→カロチノイド(黄色)が現れてくる→糖からアントシアニン生成、赤く色づく
・鮮やかな色のためには昼夜の気温差、日照時間、湿度などが色づきに影響する


それでは


参考文献
„Why autumn leaves turn red“ Nature news 2007.10.29 http://www.nature.com/news/2007/071029/full/news.2007.202.html
国立科学博物館ホットニュース 「紅葉・黄葉のしくみ」2007.12.15
http://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/theme.php?id=0001217205482884&p=2

緑色の夕焼け

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。

こんにちは、科学勉強会の清水です。
昨日までの5日間は「2014年にあったこと」がテーマでしたが、今日からは「天気・季節」がテーマに変わります。
ということで、今回のテーマは「緑色の夕暮れ」です。

さて、夕暮れと言えば様々な分野で題材にされている、とても美しい自然現象ですね。
みなさんは夕焼けを思い描くとき、どんな色を想像するでしょうか? 真っ赤な夕焼けや、薄黄色の夕焼けなど千差万別だと思います。
ですが「緑色」の夕焼けを思い描いた人はいないでしょう。
「そんな色の夕焼けはあり得ない!」とお考えですか? 実は緑色の夕焼けは実在するのです!

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この緑色の夕焼けはグリーンフラッシュ(緑閃光)と呼ばれる非常にまれな現象です。
周囲は普段通りの夕焼けの色をしていますが、太陽のみが緑色に光って見えますね。
様々な気象条件を偶然満たしたとき、一瞬だけ見ることができる光景で、ハワイでは見た人が幸運になると信じられているそうです。


では、ここからは夕焼けの色が生まれる仕組みについてお話しましょう。
昼間に見える太陽光は白いのに、日の出と日の入りの太陽光が赤く色づいて見えるのは、レイリー散乱という現象が関わっています。
この現象は「光が微粒子によって散乱する」というもので、もっとも身近な例こそが大気による太陽光の散乱なのです。

太陽光には様々な色が含まれています。
プリズムを使うと図1のように青から赤まで光を分解することが可能です。
そう、夕焼けの色である赤色や黄色、そして緑色も最初から太陽光に含まれているのです。

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昼間は太陽光が大気を通る距離が短く、散乱はそれほど起こりません。
しかし、夕暮れ時など太陽光が大気を通過する距離が長くなるにつれて、散乱される量が増えてしまいます。
ここで重要なのは「青に近い光ほど波長が短く、散乱されやすい」ということです。
青や緑の光は大気を通過する途中で散乱され、残った黄色や赤色の光のみが私たちの目に届きます。
これこそが、普段私達が目にする夕焼けの色なのです。

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では、光を散乱してしまう微粒子が少ない日であれば、緑色の光も私たちの元へ届くのでしょうか?
実は届いているのです。しかし残念なことに、赤色や黄色の光が強すぎて私たちの目では感じることができません。
そこでもう一つの条件である「光の屈折」が必要となるのです。

真空の宇宙空間を進んでいた太陽光が地球の大気に突入すると、進行方向が微妙に変化します。
このとき、赤色に近い光ほど進行方向の変化が大きいという性質から、赤色や黄色の光は大きく地球側に曲げられてしまいます。
すると太陽が沈みこんだ瞬間に、図3のように緑色の光以外が私たちの目に届かない一瞬が生まれるのです。
この一瞬の閃光が「グリーンフラッシュ」なのです。

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見るためには様々な条件が奇跡的に重なっている必要がありますが、是非自分の目で見てみたい光景ですね。
以上、夕焼けの変化に冬の到来を感じながら、清水がお送りしました!


参考URL
ナショナルジオグラフィックニュース「なぜ赤い? 夕焼けの科学」
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20131029002

今年最後の「うま」の話

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。


こんにちは!NSIの岩山です。

今年も残り少なくなってきました。
今日は、この年の瀬にあえて、今年の干支つながりのお話をしたいと思います。
今しておかないと、次にお話できるのは12年後になっちゃいますから(^^;)

さて、今年の干支といえば「午」ですね。「うま」です。
うまと言えば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
競馬とか乗馬とかいろいろあるかと思います。
個人的な好みで大変申し訳ないですが、私はうまといえば「馬刺し」、これしか思い浮かびません。
好みが分かれる食べ物だとは思いますが、私の中ではキングオブ肉料理です。

そんな馬刺しですが、よく考えてみるとちょっと変わった食べ物です。
肉なのに生で食べることができるんです。
牛刺し、豚刺し、鶏刺し…。あるにはあるようですが、馬刺しのようにメジャーとは言い難いと思います。

馬刺しが一般的に食べられている理由は、その安全性にあります。
「肉を生で食べるとお腹を壊す」というのはよく聞きますが、その原因となるのはO-157などの腸管出血性大腸菌や、カンピロバクターなどです。
馬肉は、それらの汚染はまれなんです。
一方、牛がそれらの感染源になることが多いことは知られています。
馬と牛、似ているのにどうしてそんな違いがあるのでしょうか?

細かな違いは多々あれど、根本的に大きな違いがあります。
馬は蹄が1つなのに対し、牛は蹄が2つなんです!
…たいした違いじゃないじゃないか、と思われた方もいるかもしれませんが、生物学的には馬が「奇蹄目」、牛は「鯨偶蹄目」という分類で、れっきとした別の系統として扱われています。
そして、この違いにより、細菌などへの感染しやすさに差が生まれ、馬肉の生食が可能になっているのです。

この馬と牛のように、違う分類なんだけど似たような特徴(蹄)を持っているという現象を「収斂進化」といいます。
種が違っても、環境に適応していくうちに似たような形態を持ってしまったんですね。

ちなみに、牛の方の分類名に、なにやら変な文字が入っていますが、タイプミスではないです。
「鯨偶蹄目」には牛や鹿、カバと並んで鯨・イルカも含まれています。
牛と鯨は、もともとは共通の祖先を持ち、進化の過程で陸上に留まったものと水中に戻ったものとで分かれたとされています。
鯨・イルカと魚類も、収斂進化した仲間たちと言えますね。

さてそんなわけで、明日話したくなる豆知識は、

(食べ物寄り)
馬は、牛とかとは目(もく)が違っていて、細菌とかに感染しにくいから生で食べられる

(生物寄り)
馬と牛は「奇蹄目」「鯨偶蹄目」という別分類で、似ているのは収斂進化
(または)牛と鯨は「鯨偶蹄目」という同じ分類(うまと関係なくなっちゃいました)

ということで締めたいと思います。
ではみなさん、よいお年を♪


この記事で「テーマ:2014年と言えば・・・」は終わりです。明日から5日間は「テーマ:天気・季節」で「明日話したくなる科学豆知識」をお届けします。お楽しみに!

4年に1度の数学賞

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。

2014年はおよそ全世界の30代の数学者にとって緊張した年だったでしょう.
何と言っても数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞が4年に1度授与されるその年でしたから.

フィールズ賞は4年に1度開かれる国際数学者会議において40歳以下の若手数学者に送られる賞で,ノーベル賞の部門がない数学では最高級の賞として知られています.
なお,ノーベル賞に数学部門がない理由については色恋沙汰であるとかいろいろ諸説あるようですがどれも憶測に過ぎないようです.

そして今年のフィールズ賞ではフィールズ賞始まって以来初の事態が起こりました.イラン人のマリアム・ミルザハニが女性数学者として初めて受賞したのです.さらにアメリカとフランスの受賞者が圧倒的に多い中,イラン人としても初の受賞です.

ただ,フィールズ賞の授賞に至る業績はほとんど一般人には理解できないのが残念です.例えば青色LEDはすでに広く社会に普及しているため,その偉業を一般市民も感じることができますが,「モジュライ空間におけるトートロジー集合の交差数に関するエドワード・ウィッテンの推測に新たな証明を与え、またコンパクトな双曲面における単純な閉測地線の長さに関する漸近線の公式を導き出した」(Wikipediaより)なんて言われても数学の得意な大学生でも理解するのは難しいでしょう.

その偉業を理解するのが難しくても,数学者がいかに考え,どれだけの情熱を数学に注いでいるのかは,今年邦訳が出版されたセドリック・ヴィラーニ著「定理が生まれる」を読むと垣間見ることができます.
この本ではヴィラーニがランダウ減衰についての論文をクレマン・ムオとともに書き上げ,2010年のフィールズ賞を受賞するまでの日々が日記のようにつづられています.そしてこの本の醍醐味は難解な数式や専門用語も一切省くことなく,数学者の会話,思考がすべて記されているところです.例えばこの本の2ページ目の会話を見てみましょう:

「どうして僕を呼び出したんですか?プロジェクトって?メールではあまり詳しく教えてもらえませんでしたが……」
「大それたことなのは百も承知で,また,あの長年の難題に取り組んでいるんだ.非一様ボルツマン方程式の解の連続性についてだよ」
「条件付きですか?つまり最低限の連続性の評価のもとで,ということですか?」
「いや.条件なしでやる」
「そりゃすごい!摂動法の枠組みではやらないというんですね?条件なしでできそうなんですね?」

さて,この会話がわかる人がどれほどいるでしょうか?よくドラマや映画でも天才博士が助手とこんな小難しそうな会話を繰り広げているシーンがありますが,所詮それらは作り物であり,少し専門知識のある人からするとくだらない内容で萎えてしまったりするものです.しかしこれは紛れもなく最先端の数学者の会話なのです.
とはいえ,数学者も人間であることを感じさせる記述もあります.ある時は音楽を延々聞きながら仕事をしろと自分に言い聞かせ,ある時は紅茶をパクりに学校に行き,そしてまたある時はアメリカに引っ越して好きなチーズがないことをぼやきます.だからこそ,論文が完成するまでの過程に臨場感があり,数式と専門用語がたくさんあるにも関わらずヴィラーニの手記に引き込まれるのです.

さんざんステマをしたところで終わりにしたいと思います.

彗星に軟着陸!塵から探る太陽系のはじまり

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。

先月12日、初めて彗星に探査機が軟着陸に成功したというニュースが報じられました。

着陸に成功した探査機の名前は「フィラエ」。
フィラエは、欧州宇宙機関が打ち上げた彗星探査機ロゼッタの子機で、打ち上げからおよそ10年の長旅を経て、親機のロゼッタから切り離され、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に見事着陸することができました。

探査機フィラエのミッションは、彗星に着陸し、彗星が何からできているのかを詳しく調べることだそうです。

なぜ、彗星を詳しく調べるのでしょうか?

そもそも彗星とは、箒(ほうき)星のことです。
箒星と聞くと図左のような、その名の通り箒の形の星を思い浮かべる方も多く、実際に夜空で見たことがある方もいるのではないでしょうか。
過去にも、有名なものでは、ハレー彗星(1986年)や百武彗星(1996年)、近年ではマックノート彗星(2007年)など様々な彗星が地球に近づき、肉眼でも見えるほどの明るさになっています。

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彗星は太陽系の端の方、最も遠い惑星である海王星よりもはるかに遠いところから、太陽の重力に捕らわれてやって来る天体です。
例に挙げたハレー彗星のように一定の周期でまた太陽の方へ戻ってくる彗星(図右)もあれば、百武彗星やマックノート彗星のように、太陽から遠ざかるとそのままどこかへ飛んで行ってしまう彗星もあります。
今回フィラエが着陸したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、ハレー彗星のように太陽の周りをぐるぐると周っている彗星だそうです。

美しい尾を持つ彗星ですが、実物は汚れた雪だるまに例えられます。
大きさは直径数十km程度の氷の塊に宇宙空間を漂っていた塵が着いたものです。

実は、彗星に付いている塵が、今回のフィラエのミッションでも非常に重要です。
塵の成分を詳しく調べることで、太陽系できた46億年前の様子を知る手がかりになると考えられています。

フィラエの着陸から数日後、このようなニュースがありました。

彗星で「有機分子」検出、着陸機フィラエ (2014年11月19日、AFB通信)


チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の成分を詳しく調べたところ、有機物が見つかったそうです。
有機物は、私たち人類を含め、生き物の材料になっているものです。
太陽系ができた当時、宇宙を漂って塵の中に有機物があったということは、地球で誕生した生命のもとの物質は、宇宙空間からもたらされた可能性があります。

これから詳しい分析が進むにつれ、彗星の塵を手がかりに太陽系ができた頃の様子がわかるようになるかも知れません。
今後の進展も大変楽しみなニュースです。

以上、科学勉強会のM.Iでした。

≪参考文献≫
杵島正洋、松本直記、左巻健男 編著 「新しい高校地学の教科書」(2006年、講談社ブルーバックス)

科学を秘めた琥珀色の飲み物

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。

みなさま、こんばんは。科学勉強会ののぞみんです。
昨日の辻さんからのバトンを受けて、「2014年にあったこと」第2弾です。
予告にもありましたが、今日は某局の朝の連続ドラマで話題となっているウイスキーがテーマです。
ウイスキーとは、大麦やトウモロコシを原料とした蒸留酒の一つです。名前の由来はアクア・ヴィテ(命の水)をゲール語で翻訳したウシュク・ヴェーハが訛ったものだと言われています。
普段、ドラマが放送している時間はまだ夢の中だったりするので、ぼくはしっかりとドラマを見てはいませんが、主人公である竹鶴政孝さんは日本のウイスキー史を語る上では欠かすことのできない方です。
 
まずは少し、ドラマの主人公である竹鶴政孝さんについて。
スコットランドへと留学をし、日本で初めて本格的なウイスキー製造を始めるために尽力を尽くしました。
現在では、世界五大ウイスキーとの一つに入るほど日本のウイスキーのクオリティもあがっています。
 
そろそろ、本題であるお酒の話へ移りましょう。
みなさんは、ウイスキーの中にはどのような科学が含まれているか思い浮かびますか?
 
作成過程から味や香りなど細かく数えると10以上あるかなというのが私の意見です。
その中でも、今回はウイスキー作りに欠かせない以下の3つについてお話しようかと思います。
 
醸造
 
醸造はウイスキーのみならず、すべてのお酒を造る上で欠かせないものです。
様々なお酒があるにも関わらず、
熟成は糖をエタノール(アルコール)と二酸化炭素へと分解する
この1点につきます。
 
ウイスキーの原料は大麦(モルトウイスキー)もしくはトウモロコシ(グレーンウイスキー)となっています。
それら原料はグルコースと呼ばれる糖が鎖状にたくさんつながったデンプンを持っています。
デンプンをグルコース2個がつながったマルトースへと分解し、さらに酵母によりエタノールと二酸化炭素へと分解してもらいます。
これが発酵もろみとなります。
わざわざデンプンをマルトースへと分解する理由は、酵母がデンプンのままだとエタノールへと分解することができないからです。
同じ麦を原料としているビールとの違いは発酵途中でホップを加え煮沸する点になります。
 
蒸留
 
蒸留は、発酵もろみを加熱しアルコール度数の高いウイスキーの原酒を作る工程となります。
もろみに含まれる水とエタノールの沸点はそれぞれ100℃と78℃となっており、エタノールの方が先に液体から気体へと変化します。
気体となったエタノールを再度冷却することで、度数の高い原酒を作っています。
 
ウイスキーの蒸留では単式蒸留を繰り返す場合と連続式蒸留の2種類の蒸留方法があり、香りや風味にも影響を及ぼすことが知られています。
 
熟成
 
熟成はウイスキーの味を決める大きな一つの要因です。
 
熟成は樽によって行われます。実はここの科学は詳しくは解明されていないのが事実です。
・未熟成成分の揮発
・樽材成分の分解や溶出
・成分どうしの化学反応
・エタノールと水の状態変化
などがあると考えられています。
ウイスキーの熟成に使われるのはバーボンウイスキーを除いたほとんどが、シェリー酒やバーボンを熟成された樽を用います。
ちなみに、バーボンは新樽の中を焦がして熟成を行います。
樽も呼吸をしているために、熟成年数を重ねていくごとにウイスキーが少しずつ減っていきます。
このことを「天使の分けまえ」とちょっとおしゃれな言い方をします。
 
今回は少し駆け足でかいつまんでのみ書かせていただきました。
少しでもウイスキーに興味を持ってもらえたら幸いです。
これからどんどん寒くなります。
そんなときには、ウイスキーのハイボールよりお湯割りなんていかがでしょうか?
 
明日はM.Iさんによる、お星さまの話題です。
 
文章:のぞみん

青色LEDはなぜ難しかったのか

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識2」( http://www.adventar.org/calendars/513 )の一環として書いています。


アドベントカレンダーの季節がやってきましたね。2013年に引き続き、1ヶ月間がんばっていきたいと思います。
今年のアドベントカレンダーでは、新しい試みとして5日毎にテーマを変えていこうと思います。

最初のテーマは「2014年にあったこと」です。
2014年もあと1か月。振り返ってみるといろいろありましたね。
科学に関する大きなニュースとしてはノーベル賞の日本人受賞でしょうか。今年のノーベル物理学賞では、赤崎・天野・中村の3名の博士が受賞し、話題となりました。この3名の受賞理由は、みなさんよく知っている通り「実用的な青色LEDの発明」です。

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図1:青色LED(画像はWikipedia「発光ダイオード」より引用)

ところで、この青色LEDの発明は、なぜノーベル賞になるぐらいインパクトがあったのでしょうか。その理由は、青色LEDの開発は、ほかのLEDと比べて非常に難しかったからです。1960年代、70年代に実用的な赤色・緑色のLEDが相次いで発明された一方で、実用的な青色LEDが生まれたのは1993年でした。青色は20世紀には作れないだろうと考えられていたのです。

では、どうして青色LEDだけ、こんなにも難しかったのでしょうか。気になりますよね。
そこで、本記事では「青色LEDがなぜ難しかったか」を工学的な視点からご紹介したいと思います。


そもそもLEDとは?

まずは、基礎知識として、LEDとは何かをお話しします。
LEDは Light Emitting Diode の略で、要するに電圧をかけると光を放出するダイオードのことです(図2)。ダイオードとは一方向にしか電流を流さない、特殊な半導体のことですが、この話の中では半導体によって出来ていると言うことだけわかれば十分です。

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図2:電圧をかけるとLEDは光を放出する

ポイント1:放出される光の波長

さて、LEDの開発において、もっとも重要なのは「放出される光の波長」です。ダイオードに使用する半導体の種類によって、放出される光の波長が決まります。つまり、半導体の種類を変えずに放出される光の波長を変えることは出来ません。
よって、いかに青色の波長の光を放出する半導体を探すかがポイントになります。幸い、青色の光を放出する半導体は、かなり昔から知られていて、セレン化亜鉛(ZnSe)系の材料と、窒化ガリウム(GaN)系の材料の2種類がありました。


ポイント2:半導体結晶の原子の間隔

ただし、ZnSeとGaNは「電圧をかけると青色に光る」ということがわかっていただけで、LEDとしては実用には耐えないものでした。どういうことかというと、実用化のためには、大きな半導体の結晶が必要です。結晶が出来ても、それが小さかったら発光する光の量も小さくなってしまうのです。発光の量が小さかったために実用に耐えなかったのです。

上の理由から「半導体結晶をいかに大きく成長させるか」という視点が必要になります。大きな半導体結晶を作るためには、基板と呼ばれる異なる半導体の結晶が必要です。この基板にLEDの原料のガスを吹き付けて、上に積もらせ、高温で固めていきます。このとき、基板の半導体の原子の間隔と、上に乗せたい半導体の原子の間隔が異なる(これを「誤差が大きい」といいます)と、うまく成長できません(図3)。当然ですが、原子の間隔は半導体の種類によって決まりますね。

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図3:原子の間隔が異なるとうまく結晶が成長できない

当時、半導体のための「スタンダードな基板」が知られており、ZnSe との原子の間隔の誤差は 1パーセント 以下でした。ZnSe は、比較的容易に結晶を成長させることはできますが、寿命が短いのです。実験では10時間程度しか持たなかったそうです。世の中に数多使われる青色LEDが、10時間で交換しなければならないということであれば、たまったものじゃないですね。

一方のGaN は、一旦成長させることができれば、結晶の頑丈さから、寿命が長いことが期待できました。しかしながら、GaN には「ちょうどいい基板」がありません。もっとも原子の間隔が近い基板ですら 16パーセント も誤差がありました。一般に、誤差の大きさが 1パーセント 以下でないとうまく成長しないと言われていますから、これは非常に大きな誤差です。

したがって当時の研究者は「結晶成長が容易な ZnSe の寿命をいかに延ばすか」と「結晶成長の難しい GaN をいかに成長させるか」の二者択一を迫られていたというわけです。

前者に傾く研究者が多い中、今回ノーベル賞を受賞した3名は後者にかけたのでした。


青色LED実用化のアイデア

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図4:GaNと基板の間にやわらかく薄い層を挟む

ブレイクスルーになったのは、赤崎博士の「GaNと基板の間にやわらかく薄い層を挟む」というアイデアでした。図4のように、上下の堅い結晶をうまく取り持つように、間にやわらかい素材を挟むのだそうです。このアイデアは成功し、大きくきれいな結晶を成長させることができました。この方法は、GaN 系のLEDやレーザーを実用化する上でなくてはならないものになったのです。


まとめ

まとめると、青色LEDが難しかったのは「青色を発色する窒化ガリウム(GaN)の原子の間隔と基板の原子の間隔が異なり、窒化ガリウムが成長しづらかったから」です。これを解消した「やわらかく薄い層を挟む」というアイデアが、ノーベル賞級の大発明だったのですね。

今回は「青色LEDがなぜ難しかったか」を工学的な視点からご紹介しました。
忘年会等も増えていきますが、ネタに困った際はぜひお使いください。2014年を振り返れるかもしれませんよ。


明日は、のぞみんさんによる2014年に話題をさらった朝の連続ドラマに関するお話です。お楽しみに!

文章:辻順平(科学勉強会)

参考ページ:
withnews ノーベル賞の赤崎勇氏、不可能だった「青色LED」実現した逆転方法