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彗星・小惑星についての豆知識

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。


先日,太陽に接近するとのことで,アイソン彗星が話題になっていましたね。

肉眼でも観察できるのではないかと期待されていました。
それだけに,太陽の熱で崩壊したとわかった時には落胆した方も多かったでしょう。


ところでこのアイソン彗星の「アイソン」の名前の由来をご存知でしょうか?


じつはアイソン(ISON)は,この彗星の発見者が所属する
International Scientific Optical Network 
(国際科学光学ネットワーク)

の略称なんです。


20世紀以降,彗星の名前は発見者の名前を付けるのが習慣となっていますが
近年では人工衛星や国際規模のプロジェクトチームが
彗星を発見することがほとんどで,
組織名やプロジェクト名を冠した名前が多くなっているのだそうです。



ちなみに彗星と違い,小惑星の名前については
発見者に命名の優先権が与えられているため,
面白い名前の小惑星がたくさんあります。

子どもたちが宇宙に興味をもってくれるようにと名付けられた
たこ焼き (6562 Takoyaki) や,

特撮テレビドラマのヒーローにちなんで命名された
仮面ライダー (12796 Kamenrider)
なんて名前の小惑星もあるんです。

他には,

・一寸法師
・ドナルドダック
・アンパンマン
・道後温泉
・境保育園
・わび・さび


などがあります。
本当なの!?と思うような名前もありますが,これらも実在する小惑星なんです。
珍しい名前の小惑星は他にもたくさんありますので
気になった方は調べてみてくださいね。


今日は彗星・小惑星の名前についての豆知識を紹介しました。
夜空を見上げるときに,星の名前について思いを馳せてみてもらえると嬉しいです。

以上,科学勉強会の猫塚がお送りしました。

熱を運搬する機械:ヒートポンプ

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。


どうも、小川です。

最近一気に寒くなり、暖房が欠かせない季節になりました。
夏を思い出すと夏は夏でとても暑く、エアコンのお世話になりました。
エアコンは、部屋の中の熱を部屋の外に放出ことで部屋を冷やします。
今回はエアコンや冷蔵庫に使われている「ヒートポンプ」の原理についてご紹介します。
ヒートポンプは、温度の低いところの熱を吸収し温度の高いところで放出するという、まさに熱のポンプのような働きをします。
ヒートポンプの肝は、熱を運搬する長い管です。、
この管の中には、温度を運ぶ役割をするもの(冷媒といいます)が密閉されており、この冷媒の分子の状態をうまく調節することで熱を運搬します。
分子は、狭いところにたくさん押し込められると熱くなります。
逆に、広いところにポツンと置かれると冷たくなります。
ファイル 32-1.jpg
それでは、部屋を涼しくするときのヒートポンプの働きを、分子の動きに注目してを見てみましょう。
ファイル 32-2.jpg

この図では、左側は部屋の外、右側を部屋の中とします。
図中央の上と下に、それぞれ第1の門、第2の門があります。
 
①Aでは、部屋の中で快適な温度で過ごしていた分子が、第1の門に吸い込まれBに強制的に入れられます。
第1の門は分子をBに押し込み、第2の門はEに入るのを制限するため、部屋の外を通る管の中では、分子はぎゅうぎゅうに押し込まれた状態となり熱くなります。

②Bでは分子は熱くなっているので、部屋の外が涼しく感じます。
そこで、Cで扇風機で風を送り、熱を放出させ涼しくしてやります。
するとDでは分子は押し込まれた状態ですが、さっきより快適な温度となります。

③Dで快適な温度となった分子ですが、次に第2の門があります。
第2の門は、分子をEに少しづつしか入れてくれません。
後ろからグイグイと押し出される形で、分子は第2の門を通りEに入ります。Eには分子はあまりおらず、広いところにポツンを置かれた状態となり、分子は冷たくなります。

④Eの冷たくなった分子には、部屋の中の温度が暖かく感じます。
そこでFで扇風機で風を送ると、分子は熱を吸収し暖かくなりAでは快適な状態となります。

⑤①に戻る

以上の動作を繰り返すことにより、分子は部屋の中の熱を取り入れ部屋の外に放出します。

逆に部屋の中の温度を暖めたいときには、第1の門番の向きを逆にしてやることで、分子は部屋の外の熱を吸収し、部屋の中で熱を放出します。

このようにしてエアコンは、部屋の温度を調節し私たちの快適な生活を支えているのです。

ホモ・サピエンス・サピエンス

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私たち人間の、生物としての正式な分類名は
「ホモ・サピエンス・サピエンス」
(Homo sapiens sapiens)
です。

ところでこれ、なぜ「サピエンス」を2回も繰り返すのでしょうか?

気になったので調べてみました。


実は動物の分類名というのは
[属名]・[種名]・[亜種名]
という構成でできています。

ヒトの分類学上の分類は
ヒト亜科 ホモ属 サピエンス種 サピエンス亜種
なので、種名と亜種名として、2回もサピエンスという言葉が入ってくるのです。


ちなみに約16万年前には、ホモ・サピエンス・イダルトゥという、ホモ・サピエンス・サピエンスの直接の先祖にあたる亜種が存在したとされています。

しかし現在ではサピエンス種には我々サピエンス亜種しか存在しないため、ごく最近の話をする時に限っては、亜種名を省略して「ホモ・サピエンス」と言われることも多いのだそうです。


つまり学校や職場で言うと、普通は名字だけ呼べば十分なところ、クラスに同じ名字の人が2人以上いる場合はどちらもフルネームで呼ばなくてはいけなくなる、あの現象と同じようなことなんですね。

以上、自分がよくある名字なのでなんだか妙に納得して満足してしまった、二世がお送りしました。

知ればおいしい 泡の科学

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こんにちは。つぼたです。好きなお酒はビールです。

1. うまく注ぎたい
忘年会シーズン、居酒屋でビールをグビグビいっちゃう大人の方も多いかと思います。
そんなビールですがちょっとしたことであふれてしまって大惨事!!なんて経験をした人もいるのでは?

ファイル 30-1.jpg

まず、ちょっとした工夫でうまく注いでみましょう。
(a) 最初にコップの三分の一くらい一気に注ぎ、泡が落ち着くまで待つ。
(b) 次にコップの9割くらいまで注いで、泡が落ち着くまで辛抱強く待つ。
(c) 最後に1割程度一気に注ぎ、泡をもこもこさせる。

ファイル 30-2.jpg

このように緩急をつけると、うまく注げますよ!


2.泡の科学
うまく注げるようになったところで、飲み会で使えるかも知れない(う~ん、無理かも)『泡』的なネタを。

水の中にできる泡を、
表面積を縮めようとする『界面エネルギー』
中のものが逃げ出そうとする『体積エネルギー』

この二つの側面からとらえると、あら不思議。
ある『臨界半径』よりも大きくなった泡がコップから出ていくんです。

でも、ビールの泡ってコップの側面部分から出ていませんか?
それもそのはず。壁があると、泡はとってもできやすくなるんです!

続きは以下のスライドで!

以上、坪田陽一@D論中でした。

曜日を計算する公式

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。


今日 2013年12月13日 は 「13日の金曜日」 ですね。
13日の金曜日といえば、英語圏では不吉な日として知られていて、よくないことが起こる日であると言われています。


ここで1つ疑問が。
「13日の金曜日は、何年に一回起きるでしょうか。」


この問題を考えるときには、「ある年月日に対して曜日を計算できる式」があると便利そうですね。

そんな魔法の公式があるんです。

それが、ツェラーの公式 です。

ファイル 29-1.png

ちょっと複雑な式に見えるかもしれませんね。でも、それほど難しい計算は必要ありません。
右辺を計算した結果、最終的に得られた h が 曜日を表す数値となるのです。

まず、y: 年, m: 月, d: 日 です。

ただし、1月、2月はそれぞれ前年の 13月、14月 として扱います。
たとえば 20142月3日 は、 201314月3日 とするわけです。


[ ] は 見慣れない記号かもしれません。
ガウス記号と呼ばれるもので、小数点以下を切り捨てる記号です。

たとえば [23.4] であれば、
[23.4] = 23
のように計算できます。

[ ]の中身が整数のとき、たとえば、[38]であれば
[38] = 38
となります。


mod もあまり見かけませんね。
mod は 次に来る数で割った余りを求める記号です。

たとえば 13 mod 7 であれば、
13 ÷ 7 = 1 あまり 6 ですから、
13 mod 7 = 6
のように計算できます。


計算結果の h は 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6 のいずれかの整数となります。
曜日は、次のように対応させます。

ファイル 29-2.png


それでは具体的に、今日の日付 2013年12月13日金曜日 であることを計算して確かめてみましょう。

2013年12月13日の場合、

y = 2013
M = 12
d = 13

ですから、次の図のように計算してみましょう。

ファイル 29-3.png

h = 5 となりましたので、表に照らし合わせるとたしかに金曜日ですね。


このツェラーの公式を使うと

「13日の金曜日は、毎年必ず 1回以上 起きる」

ということが証明できてしまいます。


証明は簡単です。
ツェラーの公式の"年"を除いた"月日"の部分に d = 13, m には 1 から 12 までを代入し、答え が 0 から 6 まで 7 パターン出現することを確認すればいいのです。
気になる方はぜひ挑戦してみてください。

以上、数学大好き辻順平でした。

真空の科学

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みなさんこんにちは。科学勉強会のsimatterです。
今日は明日使える科学ネタということで
「真空」についてお話したいと思います。

皆さんは真空と聞いてどんなことを思い浮かべますか?
身近なところだと「真空」パックなんてよく聞きますよね?

では、真空って一体なんでしょうか?

文字の通り解釈すると「真」に「空」っぽ。
全く物質がない空間を想像した人もいるかと思います。
でも、ちょっと待ってください。全く空っぽな状態なんてあるのでしょうか?

真空の定義を辞書で見てみると
広辞苑には
「物質の無い空間。人工的には1気圧(大気圧)の10の16乗分の1以上のものは得られないが実際には大気よりも圧力の低い状態のことをいう。」

日本工業規格JISにも
「大気圧よりも低い圧力の気体で満たされた空間の状態」
と記載されています。

実は、日常では大気圧(身の回りの空気から受ける圧力)よりも圧力が低い状態であれば真空と定義されています。
それに対して全く物質の無い状態は完全真空、絶対真空と呼ばれています。

ではその真空、どのくらいの数の気体分子が含まれているのでしょうか?
大気圧では1cm3あたりに気体分子は10の19乗個含まれています。
低真空(真空パックなどで使用されている)領域では10の16乗個(圧力は10の2乗Pa程度)ほどです。
つまり大気のおよそ1000分の1くらいになります。

宇宙ではどうでしょう?
気体の分子は地球の重力により引き寄せられています。
上空にあがるほど気体の分子数すなわち圧力が低下します。
人工衛星の軌道、距離にすると地上から35000kmも離れた場所でも1cm3あたり10の9乗個もの分子が含まれています。地上と比べるとものすごく小さな数ですが、それでもまだ非常に大きな数の気体分子が含まれていることがわかりますね。


今日は真空について
・一般には「大気よりも圧力(単位体積あたりの気体分子数)が小さい状態」のことを呼んでいること。
・実は空っぽの空間ではなく、多くの気体分子が含まれていること。
を紹介しました。

真空は魔法瓶や注射器、吸盤など身近な暮らしにも応用されています。
興味を持った方はぜひ調べてみてください!

それではこのへんで。

何倍かするとおもしろい数字

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。
 
突然ですが、下の計算をしてみてください。
 
142857×1=?
142857×2=?
142857×3=?
142857×4=?
142857×5=?
142857×6=?
 

 
……
 
………
 
…さて、計算は終わりましたでしょうか?
答えは以下のようになりましたね。
 
142857×1=142857
142857×2=285714
142857×3=428571
142857×4=571428
142857×5=714285
142857×6=851428
 
何か気づいたことはありませんか?
わかりやすいように、式を並べ替えてみます。
 
142857×1=142857
142857×5=714285
142857×4=571428
142857×6=857142
142857×2=285714
142857×3=428571
 
そう、答えが、元の数字の並びはそのままに、一つずつずれています!
 
このような数字を「巡回数」といいます。
142857以外には、0588235294117647や052631578947368421などがありますが、長すぎて“明日話したく”はなりませんね。
 
※明日話したくなる豆知識はここまでです。ここから下は、この数字に関する非常に長い説明なので、時間に余裕があるときに読んでいただければと思います。
続きを読む

2000年問題

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。


はじめまして! 科学勉強会のワンタンと申します。

さて、クリスマスまであと15日となりましたね。そしてクリスマスのさらに6日後には、新年の幕開けとなり、西暦2013年から2014年へと年が変わります。さあ、今回の年末の日付は、何も起こらず無事に年が変わってくれるでしょうか?

どうしてこんなことを言うのかといいますと、今日から13年と12ヶ月、10日前の大晦日まで、コンピュータの管理に携わるありとあらゆる人が、ある問題の対策に追われました。

2000年問題です。Y2K問題と呼ばれることもあります。2000年問題とは何でしょうか? どのようにして起こったのでしょうか? 今回は、そのことについて考えてみましょう。

コンピュータの内部では、さまざまな形式で日付や時刻を表現しています。日付や時刻が複数ある場合、数値の大きいほうが後の日付・時刻と見なされます。

ファイル 27-1.png
図1 さまざまな日付の表現

私たちは、日付を表す時によく年や月を省略して、「12月14日はイベントがある」「11日に会おう」と言いますね。この理由は、一般的に人間にとって短い表現の方が記憶しやすいからと考えられます。同じ理由で、本来4桁(けた)で表す西暦の年を下の2桁のみを使って「80年代」「95年」「03年」などの形で表すことがよくあります。

けれども、その省略方法は、コンピュータにとっては問題です。もしも、西暦の年を表すのに年号の下2桁しか使えないならば、何が起こるのでしょうか?

ファイル 27-2.png
図2 西暦年の表示を下2桁に限った場合・・・

上の図のように、西暦1999年の最後、すなわち西暦1999年12月31日23時59分59秒から1秒後には、年において百の位がくり上がり、2000年1月1日となります。1999よりも2000の方が大きな数であることから、明らかに2000年は1999年よりも後の年であることがわかります。

一方、西暦年の下2桁のみ扱う場合を考えます。西暦99年12月31日23時59分59秒から1秒後、西暦年の99 が 00 へと変化します。99と00を比べますと、後の時間の年号である00が99より小さい値となります。大きな値が後の日付を表すので、2000年が1999年よりも前の年ということになってしまいます。これが2000年問題で起こったことです。

悪いことに、1999年までの業務用のコンピュータのシステムには、西暦の年をその下2桁で表すソフトウェアを使用しているものが数多くありました。

ファイル 27-3.png
図3 データの並び替え時に発生する問題

上の図の例では、西暦1999年より2001年の方が後であるはずなのに、下2桁しか比較しないことによって順番が逆になってしまいます。これによって、データの時系列順の並べ替えが必要なソフトウェアでは、誤りが発生してしまう可能性があります。

このような誤りが日本中・世界中で起こったら大変です。コンピュータで売り上げを管理している全ての店舗で、買い物ができなくなるおそれもありました。西暦1999年が過ぎてしまう前に、どうにかして解決しなくてはなりません。

どうすればよいか? 最初にしなければならないのは、下2桁で表されていたすべての西暦の年を4桁で表し直すことでした。それから、新しく4桁で年を表すようにしたことに、コンピュータのプログラムの他の部分を対応させなければなりません。ともすればそれまでに作られた全てのプログラムとデータが相手となるこの作業は、ぼう大なものでしたが、世界中の技術者たちが力を出し合い、数年がかりで対策を施し続けました。

この結果、世界中が混乱に陥るということなく、人々は20世紀最後の年を迎えることができたのです。

さて、4桁で西暦の年を表すことで大きな被害を防ぐことのできた2000年問題。実は、4桁のみを使用することによって発生してしまう別の問題もあるのです。お気付きでしょうか?

そうです。西暦10000年問題が、そう遠くない未来に待っています。10000年問題については、直前の9999年のアドベントカレンダーに参加した際に取り上げたいと思っています。

それでは、また! (^^)/~


<参考文献>

濱田亜津子(著)『西暦2000年問題の現場から』文春新書, 1999年.

<文責:ワンタン>

やわらかくなるフシギな固体?

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。

 
どうも、小川です。
実は私、2008年8月2日にこのブログで「かたくなるフシギな液体」というタイトルで、「ダイラタンシー」という性質についての記事を書きました。
5年ぶりの投稿ということで、前回とは対照的な性質を
「やわらかくなるフシギな固体?」と題しましてご紹介します。

まず、こちらの「かたくなるフシギな液体」の記事をご覧下さい。
http://tehiro.sakura.ne.jp/studyaid/diary.cgi?no=12
(5年前の稚拙な文章で恥ずかしいですが…)

ダイラタンシーという現象は、力を加えた時だけ「かたく」なるという性質でした。
今回ご紹介するのは、力を加えられると「やわらかく」なる性質「チキソトロピー」です。

冷蔵庫から出した残り少ないケチャップが、なかなか出てこないなんて経験はありませんか?
キャップを下にして置いても、ケチャップはなかなか落ちてきません。
そんな時は、チューブを振ってみてください。
するとあら不思議、「やわらかく」なってチューブから出しやすくなっているはずです。
(図があるといいのですが、あいにく我が家のケチャップは満タンでした・・・)

このとき、ケチャップはどのようにして「やわらかく」なるのでしょうか。
ファイル 24-1.png
手をつないでいるのはケチャップの粒です。
正確にはケチャップは粒ではありませんが、説明のしやすさとダイラタンシーとの比較のため粒として説明します。
 
冷蔵庫から出されたばかりのケチャップの粒は互いに手をつないでおり、粒は動きにくい状態になっています。
この時のケチャップは「かたく」なっており、キャップを下にして置いてもなかなか落ちてきません。
 
そこで、この状態のケチャップを振る(力を加える)ことにします。すると・・・
ファイル 24-2.png
今までつないでいた手がはなれ、粒が動きやすい状態になりました。
このときケチャップは「やわらかく」なり、キャップを下にして置くとすぐに落ちてきます。
 
しかし、この状態は長くは続きません。
振ったりせずに力を加えず置いておくと・・・
ファイル 24-3.png
また粒同士が手をつなぎ始めます。
手をつないでいる粒が多くなっていき、最初の状態つまり「かたい」状態に戻ります。
 
冷蔵庫から取り出したケチャップが「かたい」のは、長いこと力が加わらずに置いておいたことで、多くの粒が手をつないだ状態になっているからです。

 
「チキソトロピー」という性質は、このようにして「かたく」なったり「やわらかく」なったりします。

 
「ダイラタンシー」「チキソトロピー」、どちらも力を加えることで変化しますが、その結果は「かたい」と「やわらかい」で逆になります。

  
5年前の記事と合わせてフシギと思っていただければ幸いです。
 
<文責:小川>

ピンク色の不思議

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。

こんにちは。つぼたです。好きな色はピンクです。

1. 光の三原色
みなさんこのブログをご覧になっているということは、おそらくパソコンや携帯の画面を通して見ていると思います。

例えば液晶画面では赤、緑、青の三つの色の組み合わせで様々な色を表現しています。みなさんどこかでお聞きになったことがあるかもしれませんが、『光の三原色』と呼ばれるものです。


ファイル 22-1.png

このように7色の色を準備しましたが、この色が見えるとき、液晶画面はどのような色を出しているのでしょうか。

試しに自分のiPadの画面を拡大したら、このようになっていました。

ファイル 22-2.png

真ん中の緑、右側の赤と青はそれぞれ一色しか見えませんが、白、黄色、水色、ピンクは2色か3色が同時に光っています。

ここまでは例えばパソコンで絵を描いたり、写真を編集したりしたことがある人ならばご存じの方も多いかと思います。

2.光の物理的性質: 波長とスペクトル
一方、少し科学(特に物理)に興味がある人ならば『色は波長と関係がある』事をご存じかと思います。

光は物理的には電磁波と呼ばれるもので、その波長によって性質が大きくかわってきます。例えば波長が短い光は紫外線やX線と呼ばれ、殺菌や空港の手荷物検査などで使われています。一方で波長が長い光は赤外線、マイクロ波、(テレビや携帯電話などの)電波など、これまた身近に使われています。
図にすると、こんな感じ。この色の帯を可視光のスペクトルといいます。

ファイル 22-3.png

3.ピンクがない!?

最初にも書きましたが、僕の好きな色はピンクです。
さて、ピンクはどこにあるかなー。っと調べてみると・・・

ない。

どこにもない。

でも先ほどまで画面の中にピンク色が見えていたはず。なぜ可視光のスペクトルの中にはピンクがないのでしょうか。

実はこのスペクトルとは 『「ある1種類の」波長の光「だけ」が目に入り、それを脳がどう感じるか』 を示したもの。

一方ピンク色は赤と青の2色の光が同時に目に入ったとき、脳が感じる色なのです。
(注: 厳密には網膜上の色を感じる錐体細胞の青と赤の光に感度が高い部分が同時に刺激されたとき。)

同じように赤緑青の3色が同時に入ると白っぽく感じます。

このように普段何気なく見ている色。これは単なる物理現象の光の波長ではなく、それを『目で見て、脳がどう感じるか』に密接に関わっているのです。

ちょっと考え始めると夜も眠れないかもしれません。

以上、坪田陽一@D論中でした。