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ナックルボールの科学

※本記事は「科学豆知識アドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/232)」の一環として書いています。




突然ですが、今日のテーマは野球です。

「え?科学なのに野球?」と思った方


まずは次の URL の GIF アニメをご覧ください。見てきたら戻ってきてくださいね。

http://rocketnews24.com/2012/12/26/279855/



見てきましたか?


そう、これが、

現代の魔球


「ナックルボール」




1. ナックルはすごいよ

ナックルのすごさ、その1、「不規則な変化」


ボールの軌跡を見てみてると、左に行ったり右に行ったり、不規則に動く!

バッターからすれば、まるで魔球!




ナックルボールのすごさ、その2、「予測不可能な変化」

ナックルボールの変化は、ピッチャーですら予測不可能

予測不可能過ぎて、キャッチャーが取れない

そう、


キャッチャーが取れない

ファイル 14-1.png


キャッチャーが取れないと、パスボール(後ろに逸らして、その間に進塁されること)


ナックルボーラーのパスボール記録(参考)
ファイル 14-3.png

注) ちなみに通常の捕手のシーズンパスボール記録は(多くて)年間17個なので、1イニングあたり0.013 個

1 イニング 4 パスボールは多過ぎ!(ランナー進みたい放題)


2. ナックルの秘密

ナックルの秘密、それは、「回転をかけないこと」

GIFアニメを見てみるとわかりますが、ほとんど回転がかかっていませんね。

ほかの変化球を比べてみると一目瞭然です。

ファイル 14-2.png

約一回転、ずば抜けて少ないですね。


3. ナックルの仕組み

ナックルボールの不規則な変化はどうして起こるのでしょう。

それは、ボールの縫い目にありました。

ボールには縫い目があります。

ファイル 14-4.png

ボール進行方向に対する縫い目の向き

この向きが変わると、空気の流れが変わります。

こんな感じです。

ファイル 14-5.png

空気の流れが変わると、

ボールにかかる力が変わる。

ボールにかかる力、

それが、

「空気抵抗」


空気があるからボールが曲がる




空気すげえ!




以上、辻 順平(科学勉強会)でした。



参考文献:
[1] ナックルボールの不思議?(第2報) 硬式野球ボールのWake Fieldと空気力 - 溝田研究室, http://www.fit.ac.jp/~mizota/knuckleball2.htm

溝田武人教授(福岡工業大学)という流体力学の研究者のページです。大リーグを代表するナックルボーラー ティム・ウェイクフィールド投手のボール軌道解析の研究で有名です。

科学豆知識アドベントカレンダーに参加します

明日から12月ですね。

最近、12月の行事としてアドベントカレンダーというものが一般的になってきましたね。ということで、本ブログのメンバーもアドベントカレンダーに参加してみたいと思います。

タイトルは、
「明日話したくなる科学豆知識」

明日話したくなる科学豆知識 Advent Calendar 2013 - ADVENTAR
http://www.adventar.org/calendars/232

明日早速話したくなる科学豆知識を、12/1から12/25までの期間、毎日1つずつ紹介する予定です。
これまでの記事とは、だいぶ雰囲気は変わるかと思いますが、ご容赦ください。

レアメタルについて

~新興国の需要拡大を背景に、インジウムやリチウムなどレアメタル(希少金属)をめぐる国際的な資源争奪戦が激化し、価格が高騰している。これらの金属を多く含みながら廃棄される携帯端末などは、「都市鉱山」として注目される。だが、国内には効率的な回収システムが整備されておらず、貴重な“国産”資源が、中国からの買い付け業者などに流れるケースも多い。(MSN産経ニュース 『三菱マテリアルがお台場に都市鉱山 廃棄携帯電話など回収施設新設 レアメタルを掘り当てろ!』(2008.7.21 18:40))~
 
 
 レアメタルと聞いてみなさんはどんなものを思い浮かべますか。鉄とか銅といったありふれている金属ではないだろうなとは想像できると思います。しかし、具体的にどのようなものなのか、どういう状況におかれているのか、そう聞かれると意外とわからない人が多いのではないでしょうか。そこで今回はレアメタルについて紹介したいと思います。

 レアメタルとは、その存在が稀であるか、その抽出が経済的・技術的に非常に困難な金属を総称したものです。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)では、47種類もの金属をレアメタルとしています。(下の図の色のついた元素がレアメタルと定義されている元素です)(文中では具体的なレアメタルの元素を太文字表記します。)

 周期表
ファイル 13-1.jpg

 より具体的には
  (1)存在量が少なくて地理的に偏在しているもの
 (2)量はあるが需要が偏在するために経済的に採算がとれないもの
 (3)量はあるが技術が偏在するというもの
 (4)供給国の方針によって人為的な偏在を余儀なくされるもの
とのどれかに該当するものと定義できます(中村繁夫著『レアメタル資源争奪戦』(日刊工業新聞社)による定義)。

 レアメタルは「産業のビタミン」とか「産業のアキレス腱」とか呼ばれていますが、実際どのようなものに使われているのでしょうか。例えばインジウム(In)というレアメタルは携帯の画面のような液晶ディスプレイに使われています。またパソコンや携帯電話のバッテリーとしてコバルト(Co)を含んでいるリチウム(Li)電池があります。このように日本の誇る先端工業に欠かせないものとなっています。それに伴い、現在ではレアメタルは高機能性材料の総称として呼ばれるようになっています。みなさんもこのような認識だったのではないでしょうか。
 
 
 現在、日本はほとんどのレアメタル資源の80~100%を輸入しています。その産地は中国、ロシア、南北アメリカ諸国、そして政情不安なアフリカ諸国に偏在しています。加えて、各国の資源ナショナリズム⋆¹の高まりによって、供給不安定が付きまとっています。また、市場規模が小さいため、投機の影響を受けやすく、価格高騰しやすいという事情もあります。それならば石炭や銅のように政情不安定でない国の鉱山に直接出資して経営すればいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、レアメタルについてはこれまでそのような動きはほとんどありません。

 ただ、日本では最近になって、外交を通じてレアメタルを安定確保しようとしたり、国内鉱山の開発に着手したりする動きがみられます。また、記事のようにリサイクルで都市鉱山⋆²から資源を回収しようとする動きもあります。これからもこれらの動きは活発になって行くでしょう。
 
 レアといいつつ、身の回りに意外とあるのがレアメタルです。今、私達が使っているパソコンもレアメタルの塊ですね。

⋆¹ …自国の資源を自国で管理・開発して行こうとする動きのこと
⋆² …都市で廃棄される家電製品には有用な資源が多く含まれており、それを鉱山として例えたもの


文責 高岡隆行

<参考文献>
中村繁夫著 『レアメタル資源争奪戦』(日刊工業新聞社)

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かたくなるフシギな液体

みなさんは泥などをおだんごのようにして遊んだことはありませんか?手の中で丸く握り、手を開くとそこには丸く固まったおだんごがあるはずです。しかし今回皆さんにご紹介するのは、普段はドロドロな状態なのにも関わらず、握った手の中ではおだんごになり手を開くとまたドロドロになってしまうという現象です。
 それでは手の中でおだんごをつくるのと手を開く、この二つの間にどんな違いがあるでしょうか?それは外から力が加わっているかいないかです。つまり力が加わっていないときはドロドロしており、力を加えたときだけかたくなるということです。このような現象をダイラタンシー(dilatancy)現象、または膨化(ぼうか)といいます。
 このような現象を起こすドロドロの液体とはいったいどんなものなのでしょう。実は家の中にある片栗粉と水、これだけで簡単に作ることができます。およそ一対一の割合で片栗粉と水を混ぜ合わせるとドロドロとしてきます。割合を微調節すると、ダイラタンシー現象を示す液体ができます。
 ではなぜこのような現象が起こるのでしょうか?その原因は水の中にある粒にあります。下の図を見てください。
ファイル 12-1.gif
ダイラタンシー現象を示すような液体には、上の図のように水の中の粒がたくさん入っています。この状態は粒と粒との間に水があり、水が潤滑剤のような働きをすることで、粒は動きやすい状態にあります。よってこの液体を傾けたりするとドロドロと流れます。

次はこの状態に力を加えてみましょう。
ファイル 12-2.gif
上の図のように上から力を加えたとしましょう。すると力が粒のまわりから水が押し出され、その部分の粒と粒の間には水がない状態になります。
ファイル 12-3.gif
粒と粒の間に水がない、つまり潤滑剤を失った粒は摩擦力が大きくなり、お互いに動きの邪魔をしあうようになります。すると力を加える前までドロドロとしていましたが、このときはドロドロの状態ではなくなります。よって力を加えた手にはかたいという感覚を受けます。手の中でおだんごがつくれる理由はこのようなことだったのです。
ファイル 12-4.gif
そして力を加えるのをやめると水が抜けた部分にまた水が入ってきます。するとかたくなった部分の粒と粒の間に潤滑剤が戻ってくるので、また最初のようなドロドロの状態に戻るというわけです。
 このとき注目してもらいたいのは、力の変化を与えなければ、かたくはならないということです。先ほどの例だと力を加えたときだけはかたくなりますが、そのまま手を置いておくとやわらかくなります。つまり同じ力を加え続けてもかたくはならないということです。しかし、一度手を戻しまた同じ力で叩くとかたくなります。つまりこの液体の上に座ることは出来ませんが、足踏みなどをすることで沈まないようにすることは出来るわけです。
 この現象の鍵となるのは粒の大きさです。片栗粉は粉の中でも粒が大きめで、粒と粒の間の摩擦力が強いのでこのような振る舞いをします。ただ小麦粉で同じものを作ろうとすると、グルテンが生成されて、粘土のようなものになってしまいます。
いろいろと説明してきましたが、この現象を是非自分で体験してみてください。触ってみればその不思議さが体験できます。

文責 小川将司

<参考文献>
D.H.Everett著 間 集三 監訳 『エベレット コロイド科学の基礎』(化学同人)

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浮沈子のふしぎ~浮いたり沈んだりするサカナ~

 浮沈子(ふちんし)というおもちゃを知っていますか?浮沈子とは、浮いたり沈んだりする「浮き」のことです。浮沈子は、家でも簡単に作ることができます。浮沈子の完成図と、材料・作り方は以下のとおりです。

<浮沈子完成図>

ファイル 11-1.jpg

<材料>
サカナ型プラスチックしょうゆ入れ(小1個)(以下「サカナ」)、エナメル線などのやわらかい針金(約40cm、太さ0.3~0.6mm程度)、ペットボトル(500mlサイズ1本)

<作り方>
※下図も参照してください。
1.サカナの口に針金を巻きます。
2.サカナに水を入れて、水を入れたコップにサカナを浮かせます。このとき、ちょうどしっぽが水面に浮くように水の量を調節します。
3.ペットボトルに水をいっぱいまで入れ、サカナを入れます。ペットボトルのふたを閉めます。

ファイル 11-2.jpg

 さて、できあがった浮沈子を使って実際にサカナを浮き沈みさせてみましょう。ペットボトルを握ると、あらふしぎ、サカナは沈んでしまいます(上図4参照)。今度は握った手をゆるめてみましょう。そうすると、再びサカナが浮いてきます(うまく浮き沈みしない場合は、サカナに入っている水の量を調節してみましょう。ちょうどうまく浮き沈みする量が見つかるはずです)。ペットボトルの中のサカナは、ペットボトルを握ったり手をゆるめたりすることにより、浮いたり沈んだりするのです。

 では、なぜペットボトルの中のサカナは浮いたり沈んだりするのでしょうか?その答えを導くカギは、サカナの中に入っている「空気の体積」にあります。ペットボトルを握る前と握っているときの、サカナに入っている空気の体積をよく見てみてください。ペットボトルを握ると、サカナに入っている水の水面が上がり、空気の体積が小さくなっていることがわかります。実はこれこそが、サカナが浮き沈みする秘密なのです。

 ペットボトルに入っているサカナは、「浮力」という力で浮いています。浮力とは物体が水中で受ける力のことです。水中の物体は、物体が押しのけた水の重さに等しい浮力を受けます(アルキメデスの原理)。このことから物体は、物体が押しのけた水の体積が大きければ大きいほど、大きな浮力を受けるということがいえます。サカナに当てはめてみると、「物体が押しのけた」部分は「空気の体積」に当たります。つまり、空気の体積が大きいほど、押しのけられる水の体積は大きくなり、浮力は大きくなるのです。

 それでは、サカナが浮き沈みする一通りの流れを見てみましょう。ペットボトルを握ると、ペットボトル中の水の圧力が増します。それによって、サカナが受ける圧力が増加し、サカナはつぶされてしまいます。すると、サカナの中の空気がつぶれ、空気の体積が小さくなります。これにより、サカナの浮力が小さくなり、サカナは沈みます。さらに、ペットボトルを握った手をゆるめると、サカナが受ける圧力が下がって元に戻り、サカナは再び浮いてくるのです(下図参照)。

ファイル 11-3.jpg

 ペットボトル中のサカナは、空気の体積が変化することにより、浮いたり沈んだりしているのです。実は実際の魚も、魚の体内にある「うきぶくろ」中の空気の体積を変化させることにより浮き沈みしています。プラスチックのサカナも、実際に泳いでいる魚も、空気の体積の変化で浮いているなんて、なんだかおもしろいですね。


<参考文献>
左巻 健男、内村 浩著『おもしろ実験・ものづくり事典』(東京書籍)
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メビウスの帯のフシギ

 みなさんは、「メビウスの帯」という帯を知っていますか?メビウスの帯(図1)は、1858年にドイツの数学者によって発見された、フシギな性質をもった帯です。
ファイル 10-1.gif
 メビウスの帯の「おもて」を、帯にそってたどってみてください。1周すると、「うら」の面に来てしまいますね。メビウスの帯は、「おもて」も「うら」もない帯だったです。


 メビウスの帯は、図2のように帯を半回転ねじって、両端の表と裏を貼りあわせて簡単に作ることができます。一方で、何もねじらないで貼りあわせると、普通の帯ができます。(飾り付けでよく使うようなごく普通の帯です。)
ファイル 10-2.gif

 メビウスの帯は、普通の帯と決定的に性質が異なるのですが、それを示す面白い実験があります。それは、帯を中央で切り分けてしまうことです。(この実験は、なかなか興味深いので、ぜひやってみてください。)

 まずは、普通の帯の中央に線を引いて、その線にそって切ってみることを考えましょう。当然、2つの帯にわかれますね。(図3上)
 同様のことをメビウスの帯でもやってみましょう。メビウスの帯は2つにわかれるでしょうか?なんと、驚いたことにメビウスの帯は2つにわかれません!!切り分けたはずの帯は、すべてつながっていて、1つの大きな帯となってしまいました。よくみると、その帯はとてもねじれていることがわかります。(図3下)
ファイル 10-3.gif


 どうして、普通の帯では2つに分かれたのに、メビウスの帯は分かれず、1つの帯になったのでしょう。それぞれの帯を中央線で2色に分けると、その理由がよくわかります(図4)。

 普通の帯の場合、図4にあるように、ねじっていないため、白い部分と白い部分同士、黒い部分と黒い部分同士つながり、輪ができることがわかります。白い部分と黒い部分は互いにくっつかないため、2つの輪はわかれてしまいますね。
 一方で、メビウスの帯は、黒い部分と白い部分が、また別の白い部分と黒い部分がつながることがわかります。黒い部分と白い部分が互いにつながり合うために、大きな輪ができるのですね。
ファイル 10-4.gif


できた大きな帯は、なぜねじれる?
 私たちの行っている科学実験教室でも、このメビウスの帯の実験を行いました。そのときも上の説明をしましたが、参加者から「(メビウスの帯を切ってできた大きな帯は)なんでねじれているの?」という質問をいただきました。(なかなかするどい質問ですね!)

 これは、次のように考えるとわかります。図5は簡略化して描いた普通の帯とメビウスの帯です。
ファイル 10-5.gif

 普通の帯は、もともとねじっていないわけですから、2つに分けた帯もねじれはありませんね。
 一方のメビウスの帯は、半回転ねじってあります。図5の右図のように、これは2つにわけたときに2回分のねじれにあたります。半回転が2つですから、1回転のねじれとなるわけです。


文責:辻 順平

<参考文献>
Clifford A.Pickover著 吉田三知世 訳 『メビウスの帯』(日経BP社)


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サイエンス・コミュニケーション

 皆さんは,コミュニケーションと聞いて,どんなことを思い浮かべるでしょうか?

 私たちは,日常生活の中で,様々なコミュニケーションを行っています。たとえば,普段の会話もコミュニケーションです。また,テレビや新聞,雑誌などもコミュニケーション手段の1つです。
 一口に,コミュニケーションと言っても,双方向かつ即時的なコミュニケーション(例:会話,電話など)もあれば,双方向でも時間のかかるもの(例:手紙,メールなど)もあります。また,一方向のコミュニケーション(例:テレビや新聞,本など)は,伝える側とそれを受け取る側がいますが,受け取った側からのアプローチは,なかなかできないという特徴があります。


 私たちは科学実験教室もコミュニケーションの一種であると考え,子どもたちを対象とした,科学実験教室を行っています。
 では,科学実験教室は,どんな特徴をもったコミュニケーションなのでしょうか?


 実験教室に参加してくれた方には,私たち 実験教室の運営者から,実験についてや,自然科学についての情報を提供することができます。また,私たちの実験教室は対話を基本としていますので,参加者からの質問にも答えることができ,双方向のコミュニケーションを考えることができます。

 しかし,私たちは実験教室の場だけで終わってしまうものではなく,もっと広いコミュニケーションを目指しています。

ファイル 9-1.jpg

 上の図は,私たちが実験教室を通して成し遂げたいコミュニケーションを図示したものです。
 大学生と小学生,保護者とは,実験教室の場でコミュニケーションを取ることができます。小学生と保護者は各家庭で実験教室の話題を通してコミュニケーションを取ることが可能でしょう。
 このコミュニケーションの真ん中に位置しているものが,サイエンスコミュニケーション,すなわち私たちが行なっている実験教室です。実験教室を通して,これら三者が連携をとりながら,身近になっていけば,私たちと同じように理科や自然科学が好きな人が増えると考えています。
 また,学校の先生や科学館・博物館の学芸員とも違う,現役大学生と接することで,大学自体や大学生のイメージを創ることもできると考えています。小学生が将来 進路を考える上で,何らかの影響を与えることができるでしょう。


 このブログも,一人でも多くの人に理科や自然科学に関心を持ってもらえたらという思いから,運営しています。

 ブログもコミュニケーションの1つのツールとして活用することは可能です。ブログの特徴の一つは,コメントやトラックバックを利用して,双方向コミュニケーションが行えるということです。このブログを通して,私たちと皆さんが,科学の話題で盛り上がれることを願っています。


 今回は,自然科学というよりも,社会科学・人文科学に近い話題になりました。一般的に「科学」というと,「自然科学」をイメージしますが,社会科学や人文科学もれっきとした「科学」です。私たちのメンバーには,文系学部の学生もいます。自然科学のみならず,広い意味での科学を紹介して行けたらと考えています。


文責:寺前洋生

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北大でこん虫みぃ~つけた!-エゾイトトンボ- 

身近な科学ということで、今回は北大の構内で今までに見つかった昆虫のなかから、エゾイトトンボという昆虫を紹介します。

皆さん、イトトンボという虫をご存知でしょうか?
イトトンボとは、その名の通り体が糸のように細いトンボのなかまで、北海道では12種類見つかっています。(イトトンボのなかま以外にも体の細いトンボがいます。)蛍光色のカラフルな姿をしていますが、華奢な体つきのため、目を凝らさないと見つけられないかもしれません。

エゾイトトンボ(学名Coenagrion lanceolatum SELYS)は体長3cmほどの、水色や、黄緑色をしたイトトンボです。植物のたくさん生えた沼などに棲みます。成虫は5月下旬から8月中旬の間見ることができます。

ファイル 8-1.jpg

北大構内では、今年の5月8日に遺跡保存庭園で見つかりました。おそらく近くの川から飛んできたようです。他にも、花木園の沼や、大野池でもイトトンボを見ることがあります。珍しい種類ではないので、家のそばの公園など身近なところでも、水草の茂った池があれば見つかるかもしれませんよ。

ファイル 8-2.jpg

おまけ ~ハートのつながりトンボ~
秋に、つながったトンボを見たことはありますか?実はあれは、オスとメスが交尾をしているところです。
イトトンボの交尾を見てください。

ファイル 8-3.jpg

ハート型につながっているように見えませんか?

文責 刀禰浩一

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エントロピー

整理整頓された部屋と散らかった部屋とでは、気分が違うことでしょう。綺麗に片付いた部屋の方が、気分がよくなり、仕事や勉強もはかどるということは誰もが経験することだと思います。
このような、部屋が散らかっていることと片付いていることの違いは、気分や感覚的なものばかりではありません。実は、物理学に、散らかり具合を表す量(物理量)があります。これが、今回のテーマである「エントロピー」という量です。

エントロピーという量は、部屋の散らかり方だけを表すのではなく、より一般には、乱雑さや無秩序さの度合いを表す物理量であると解釈されています。この言葉を使うと、散らかっている部屋は「エントロピーが大きい」、片付いている部屋は「エントロピーが小さい」と表現することができるのです。
このエントロピーという量は、物理学の中でどのように発見され、解釈されたのでしょうか?

物理学の分野のひとつに、熱力学があります。熱力学とは、熱に関する現象を対象とした学問で、産業革命以降、蒸気機関のような熱機関を研究することで発展しました。
エントロピーは、熱力学を研究されている過程で、クラウジウスという人によって発見されました。19世紀の半ばのことです。クラウジウスは、熱機関の理想的なモデル(カルノーサイクルといいます)について研究していたところ、「熱量」を「温度」で割った量が普遍的な量であることに気付き、エントロピーが発見されたのです。このように、当初、エントロピーは熱や温度に関係のある物理量だと考えられていました。現在のように、乱雑さや無秩序さを表す量であると解釈されるのは、これより少し後のことです。

熱力学は、熱的な現象を、原子や分子などを考えずに、ありのままに扱う学問です。しかし、実際には、みなさんがご存じのように、全ての物質は多数の原子や分子で構成されています。固体は原子や分子が並んだままそこからあまり動かないでいる状態で、気体は多数の原子や分子が自由に飛び回っている状態です。
ファイル 7-1.gif
19世紀の終わりごろには、このように物質が多数の原子・分子からできていると考えられるようになりました。そして、クラウジウスが発見したエントロピーは、原子や分子がどれだけ散らばっているのか、つまり、分子運動の乱雑さを表す量であると解釈されるようになったのです。
このような過程を経て、現在では、エントロピーは乱雑さや無秩序さの度合いを表す量であると解釈されています。この後に、エントロピーは情報にも関係することが指摘されました。「分子運動の乱雑さ・無秩序さ」ではなく、「情報のあいまいさ」を表す量としての情報論的エントロピーです。

次回は、情報論的エントロピーについて書きたいと思います。

<参考文献>
砂川重信著『熱・統計力学の考え方』(岩波書店)
細野敏夫著『エントロピーの科学』(コロナ社)
マーティン・ゴールドスタイン、インゲ・F・ゴールドスタイン著、米沢富美子監訳
『冷蔵庫と宇宙 エントロピーから見た科学の地平』(東京電機大学出版局)

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虹の科学

みなさんは、虹を見たことがありますか?大半の方が見たことがあると思います。もちろん私も見たことがあります。今回私はどのような仕組みで虹ができるのかという身近な疑問について調べてみました。

虹といってもたくさんの種類が存在します。私たちがよく見る虹のことを主虹といいます。時々副虹という虹を同時に見ることができます。では、主虹はどのようにしてできるのでしょうか?
虹ができるために必要な条件を考えてみましょう。虹は、雨や夕立の後の空や、滝のように水の多い場所で見ることができます。そして、もうひとつ重要な条件が存在します。それは太陽の光です。虹の生成には水滴と太陽の光が必要不可欠なのです。それでは、どのような現象により虹ができているのでしょうか?
虹は光の屈折現象によってできます。
具体的には、次の現象が起こるために虹が7色に見えます(図1を参照してください)。
             ファイル 6-1.jpg

光が進み水滴に当たり屈折して水滴内に入ります。このときに色によって波長が異なるため色ごとに別々の順路をたどります。そして光は、水滴の内側の壁(水面)に当たります。このとき、主虹の場合は水滴内部で1回だけ反射します。反射した光が違う経路で進んで行きます。水面に来ると、屈折して光がでていきます。このときに水滴が光を屈折させる場合、光の色(=波長)によってどのくらい曲げるかが変わるので、入ってきた時に色はみんな一緒だったのに出て行くときはみんな色ごとにバラバラにされてしまいます。この現象のため7色の光が見えます。

このときの色に関してですが、波長の長さによりそれぞれ異なる角度で屈折するために、人間の目に入ってくるのは外側が赤、内側が紫といった感じの虹色に見えます(図2参照)。
             ファイル 6-2.jpg

次に、虹の見え方について考えていきます。虹という現象は、前述の通り太陽と反対側に浮かぶ水滴(雨粒)がプリズムの役目を果たすために見ることができます。このときに色が分かれます。そしてこのとき、視半径(「太陽」-「プリズムとなる水滴」-「観察者」 )が40~42度となる円弧の部分に主虹がみることができます。(図3参照)。
             ファイル 6-3.jpg

ところで、時々主虹といっしょにもう1つ虹が見えることがあります。この虹のことを副虹といいます。副虹の場合は、水滴の中で2回反射した後に屈折して外に出てきます。そのため色の上下がさかさまになります。しかし、2回反射するため色は薄くなります。 また、副虹は主虹の外側にできます。そして、副虹の場合、視半径は、50~52度となります(図4参照)。

そのほかにもいろいろな種類がありますが調査次第更新していきたいと思います。
             ファイル 6-4.jpg

<参考文献>
村松照男、田村正隆著『図解雑学 気象の仕組み』(ナツメ社)
富永靖弘著『気象・天気の仕組み』(新星出版社)


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