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ヘリコプターの原理

皆さんは子供の頃に竹とんぼで遊んだという経験はありますか?
私は、幼少の時遊んだことがあって何度か蛍光灯にぶつけて壊したことがあります。

そこで、今回は竹とんぼの飛ぶ仕組みについて話したいと思います。そして、ヘリコプターの飛ぶ仕組みについても話そうと思います。

まず、何故竹とんぼが飛ぶのか? この理由は飛行機が飛ぶ仕組みと同じです。そして、この仕組みはヘリコプターも同じです。
物が空へ飛ぶためには揚力という力が必要です。揚力とは『飛行機の翼のような薄板を流体中で動かすときに、進行方向に対して垂直・上向きに働く力』(広辞苑より引用)です。流体とは、気体と液体との総称のことです。
どうすれば揚力を作ることができるのでしょうか?ここで、台風の中で板持って飛ばされないように耐えている人を思い浮かべてください(aとbとcの図を参照)。
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aの場合は、板の全てを使って風を受けています。よって、飛ばされずに後ろへと流されていくようになります。bの場合は、風と完全に同じ方向に板を持って、風を受けています。この場合、板自体は風の力の影響を受けません。動くとしたら、aと同じように後ろへと押されていくだけでしょう。(現実にこのような持ち方をするのは難しいでしょう)ところが、cの持ち方はどうでしょう。cの場合であれば、板が鉄のような重いものでない限り風を受けて飛んでいく事が想像できると思います。なぜこのような事がいえるのか、もっと細かく考えて見てみよう。
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板に対して働く力をみてみましょう。(台風の風には色々な方向がありますが、簡単に考えるために一方向からしか吹いていないとします)板が受ける力は絵のように2つ方向に分けられます。横方向の力は抗力と呼びます。上方向の力が揚力です。このようにして、板の方向を傾けるだけで揚力を得ることができるようになります。
しかし、ここで注意して欲しいことがあります。もしも板を傾けすぎてしまうと飛ぶことのできる十分な揚力は得られなくなります。理由を考えてみましょう(図を参照)。
風からの力は揚力と抗力に分かれます。傾けていくことで、揚力は大きくなっていきます。しかし、ある角度の時点で突然、抗力の影響が揚力より大きくなります。すると、揚力は小さくなって行き、やがて飛べなくなります。
よって、傾きをつけるときは一番飛びやすい角度を見つけることが大事です。単純に傾ければ良いというわけではありません。
揚力は板が風を受けることで生み出すことが出来ます。竹とんぼが飛ぶ原理も同じです。プロペラが何度も何度も風を切ることで揚力が働き、飛び続けることが出来るようになるのです。
ヘリコプターも同じようにプロペラの一枚一枚が揚力を起こすことで飛び続けることが出来ます。
しかし、ここで問題があります。竹とんぼで遊んだことのある人はわかると思いますが、竹とんぼを回すと軸、つまり竹串も同時に回ります。ヘリコプターも同じ原理で動いています。でも、竹とんぼと同じ様に考えると機体も激しく回転してしまうことになります。そのため、ヘリコプターにはこれを防ぐための装置が尾部に設置されています。装置にも様々な種類の物がありますが、基本的には機体が回転する方向とは逆方向に空気や圧力を噴射することで機体の回転を防いでいます。

これらを踏まえて考えると、ドラ●●んに出てくるタケ○○○―という道具をつけると、つけた人は飛べる代わりに自分も一緒に回転してしまうのです。今度見る機会があれば、少しこんなことも考えてみてください。
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<参考文献>
『航空工学入門(改訂第4版)』(社団法人日本航空技術協会)

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情報とビット ~情報を科学する~

今回は情報のお話をしたいと思います。“情報”と言われても、なかなかピンと来ない方も多いと思われますが、私たちの生活には情報が必要不可欠なものとなっています。
かくいう私も、このブログを通してみなさんに、“文字情報”や“画像情報”をお送りしているわけです。

情報とコンピュータは切っても切り離せない関係にあります。というのも、情報を送るにも、情報を理解するにも、情報を保存するにも、コンピュータが用いられるからです。今回は、コンピュータの中でどのように“情報を処理”しているか、に焦点を当ててお話します。

まず、コンピュータでは情報を“デジタル情報”として扱います。
コンピュータは「0と1」の2通りのパターンで情報を認識していることは、どこかで聞いたような話かと思います。0と1で表す情報のことをデジタル情報と呼びます。
画像や音声といった情報を、デジタル情報に変えるには、様々な方法が取られます。
文書情報は1文字1文字をアスキーコードといった変換形式で、音声情報は*サンプリング、**クォンタイズといった過程を経て整数列に置き換えられます。どちらも最終的には0、1の数列として処理されます(図1)。
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*サンプリング(標本化)・・・一定時間幅で音の信号を採取して記憶すること。CDでは1秒間に44100回サンプリングしている。サンプリング回数が多ければ多いほど元の信号を再現することになるため音質がよくなる。

**クォンタイズ(量子化)・・・音源の信号値(縦軸)を決められたとびとびの値に近似し端数を切り捨てる工程。CDでは信号値を65536段階(16ビット)に量子化している。

なぜ、情報を0と1の2通りで表す(これを二進数表記といいます)必要があるのでしょう。私たち人間が通常使う十進数表記はどうして用いられないのでしょうか。
主な理由は2つあります。

1つ目は、二進数表記が効率のよい数の表現記法だからです。
突然ですが、みなさんは両手の指だけを使っていくつまで数えられますか?10まで?とんでもない。実は1023まで数えることができます。指を伸ばしている状態を0、折っている状態を1とし、指の1本1本を位(くらい)と考えます。この位のことをビットと呼びます。つまり人間の両手では、10ビットの情報を処理することができるわけです(図2)。
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2つ目の理由としては、2つの物理的な状態を作り出すことが容易にできるということです。メモリを例に挙げてみましょう。
コンピュータで情報を処理する際、コンピュータ内のメモリという場所に一時的に情報をキープしておきます。最近では512MB(1MB(1メガバイト)は約8,000,000[bit(ビット)])のメモリが搭載されたコンピュータが出回っていますが、そのメモリにはおよそ5000億個【注!訂正があります】の「0と1を区別するスイッチ」の役割を果たす回路が入っています(図3)。コンピュータにおける0と1のスイッチ回路が、先ほどの例で言うと1本1本の指にあたります。
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【訂正】512MBのメモリの数が上では「およそ5000億個」と書いてありますが、これは「およそ43億個」の誤りです。


このメモリの中にある「0と1を区別するスイッチ」は、電圧の高低で状態を区別しています。回路にかかる電圧が0の状態を”0”、電圧がある値(たとえば5ボルト)の状態を”1”としているわけです。厳密に0ボルトや5ボルトということはあり得ませんので、半分の値(しきい値、この場合2.5ボルト)を境として、”0”と”1”を区別しているわけです(図4)。
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これがもし十進数だったらどうでしょう。”0”~”9”まで10パターンの電圧状態を考えなくてはなりません。(たとえば熱や電磁波などのノイズ)によって、誤った情報に変わってしまうこともあったでしょう。

”0”と”1”といったコンピュータにとって理解可能な形式は、「たくさんの情報を」「正確に処理」するのに、非常に都合がいいのです。

<参考文献>
今井 秀樹著『情報理論』(昭晃社)

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お酒の科学 ~なぜお酒に弱い人と強い人がいるのか??~

お酒の科学~なぜお酒に強い人と弱い人がいるのか??~

大人になると、会社の宴会や友達同士の飲み会など、さまざまな場面でお酒に触れることがあると思います。しかし、このお酒は人によって生まれつき強い・弱いが決まっているのです。少し飲んだだけで真っ赤になり、気分が悪くなる人もいれば、たくさん飲んでもへっちゃらで顔色が全然変わらない人もいます。では、このお酒の強さを決める要因は一体何なのでしょうか??

お酒とは、アルコールの一種であるエタノールを含む飲料のことをいいます(日本の法律によるとエタノール分1%以上のものを指します)。お酒を飲むと酔っ払うといわれますが、酔いとは、エタノールにより脳が麻痺した状態のことを指します。お酒をたくさん飲めばその分エタノールを多量に摂取することになるため、脳の麻痺の度合いは強くなります。体内に存在するエタノールの量で、酔いの強さが決まるのです。

しかし、人間はいつまでも酔っているわけにはいきません。エタノールは体内で分解され、酔いの状態は解消されるわけですが、その分解は主に肝臓という臓器により行われます。肝臓では、エタノールはまずアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸へと分解されます。そして酢酸は全身の細胞で水と二酸化炭素に分解されるわけですが、エタノールを分解する際にはさまざまな酵素と呼ばれるものがはたらきます。

肝臓でエタノールが分解される際にはまず、アセトアルデヒドに分解される過程で、アルコール脱水素酵素(ADH)と呼ばれる酵素がはたらきます。さらに、アセトアルデヒドから酢酸に分解される過程で、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)と呼ばれる酵素がはたらきます。主にこれらの酵素が、肝臓でのエタノール分解を進めています。

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このような仕組みでエタノールが分解されるのですが、ここではたらく酵素がお酒の強さに大きく関わってきます。アセトアルデヒドを分解するALDHはALDH1とALDH2という2種類が存在し、ALDH1はアセトアルデヒドが高濃度のときにはたらき、ALDH2はアセトアルデヒドが低濃度のときにはたらきます。しかし、ここで大きな問題が発生します。酔いはじめではアセトアルデヒドの濃度が低いためALDH2がはたらきますが、このALDH2は遺伝的によくはたらく人とそうでない人がいるのです。特に日本人ではALDH2がよくはたらかない人や全くはたらかない人が半数近くおり、そのような人が酒に弱い人といわれます。

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アセトアルデヒドは有害物質であり、体内に長く存在することは体にとってよくありません。そのため、ALDH2がよくはたらかない人は、アセトアルデヒドを分解する速度が遅いため、お酒を飲むと気分が悪くなりやすいのです。ALDH2がよくはたらくかそうでないかということだけが、お酒に強いかどうかを決めているわけではありませんが、その大きな要因の一つとなっています。

以上のように、遺伝的にお酒の飲める量や早さは全然違います。そのため、飲み会の席ではイッキ飲みを強要したり、無理に酒を勧めたりしないようにしましょう。自分も他の人もお酒で苦しまないように、お酒とうまく付き合っていくことが大切です。

<参考文献>
梅田 悦生著『飲酒の生理学』(裳華房)
田多井吉之介著『酒と飲み物の健康学』(大修館書店)

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なぜ氷の上は滑るの?~氷の科学

2月に入り、ここ札幌の冬はますます厳しくなっています。最高気温が0℃ないのも当たり前です。今年は暖冬と言われますが、あまり実感できないものです。

その寒さ故か、北国の気候では様々な問題が起こります。その一つに路面の凍結があります。路面の凍結は(あの悪名高い!) アイスバーンともいいます。気温が氷点以下になり道路面上の水分が凍りつくことで凍結が生じます。このため、冬になると車のスリップ事故や歩行者の転倒事故が数多く起こってしまいます。札幌市では機械除排雪、凍結防止剤の散布、砂箱設置による安全対策をしていますが、問題の解決は難しいようです。

つるっと滑って転ばないためにも雪道を歩くときには足元に注意しなければいけません。しかし、ここである疑問が。なぜ凍った路面で滑ってしまうのでしょうか?どんなに注意してもツルツルの氷の上では簡単に滑ってしまうことが多いでしょう。一見理屈は簡単そうに見えても、説明するのは難しいのではないでしょうか?では、これから科学の世界から氷を眺めてみることにしましょう!

科学の世界では昔から氷について様々な研究がなされていて、最近になって新種の氷が発見されていたりします。「なぜ氷の上で滑ってしまうのか」今までこの問題についても様々な説が考えられてきました。ここでは「圧力融解説」「摩擦熱説」「凝着説」という3つの有力な説を紹介していきます。

まず1901年にイギリスのレイノルズが圧力融解説を発表しました。圧力のために氷が融解し、解け水が軟滑剤の働きをするというものです。これには氷の「圧力によって融ける温度(融点)が下がる」性質が用いられています。この説は一見理にかなっているようです。しかし、後になってこの理論には大きな欠陥が見つかりました。例えば平均的な体重の男性がスケートに乗った場合、片足で15気圧ほどになります。氷は1気圧の圧力を加えるごとに融点が0.0075℃ずつ下がるので、この場合には氷の温度が-0.11℃より高くなければ氷はよく滑らないことになります。しかし実際は-5℃でも-10℃でもスケートはよく滑ることは明らかです。よってこの説だけでは説明不足となります。

この説に対し、1936年に「解け水は圧力でなく摩擦熱によって生じる」とケンブリッジ大学のバウデンとヒューズが摩擦熱説を発表しました。滑り台で滑った後、お尻が熱くなったことはありませんか?あれは摩擦熱が原因です。彼らはスキーを使って多くの実験をしてその説に至りました。スキー板と氷が生じた摩擦熱により滑るのではないかと。しかし後の実験で「速度が速ければ速いほど滑りやすい」という彼らの主張にも矛盾が見つかり、この摩擦熱説も学者の一部から疑問の声が上がっています。

他にも接触面でお互いの表面の原子の結合力により固体同士がくっつくことで滑る、凝着説があります。しかし有力であっても、この問題は未だに解決されていないのです。

結論を言いますと、氷の上で滑る原因ははっきりとは分かりません。しかし、研究途中ということもあるので、新たな進展がありましたら報告しようと思います。また、最初に路面凍結について記しましたが、雪や氷は悪い面ばかりでなくウインタースポーツを楽しめるといういい面もありますよね。これを機に身近な氷や雪の科学について考えてみてはどうでしょうか?

<参考文献>
前野紀一著『新版 氷の科学』(北海道大学図書刊行会発行)

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ラジオ放送のしくみ ~なぜ電波で音を伝えられるのか?~

皆さんの身近にあるラジオ。仕事や勉強をしながらラジオを聴くという方や、好きな番組を録音して楽しむという方もいらっしゃることでしょう。
ラジカセのスイッチを入れて周波数を合わせると、いつも聞いている番組が・・・。ここでちょっとした疑問です。ラジカセは、何を受けて音を聞くことができるのでしょう?
それはもちろん電波なのですが、今私たちが聞きたいのは「音」です。では、ラジオ放送は、「音」をどのように電波に乗せているのでしょうか?

そもそも音というのは、空気の圧力の変化が振動となって伝わる波です。人の聞くことのできる音とは、振動数が20~2万Hzの音波です。
振動数というのは、波を伝える空気などの媒質が1秒間に何回振動したのかを表していて(単位はヘルツHz)、音波の場合は音の高さに関係しています。電波や交流電流の場合、振動数を周波数とも呼びます。

これに対し電波とは、電磁波と呼ばれる波の一部です。電磁波は、その名の通り電気的であり磁気的でもある波で、空気など物質のない真空中でも伝わります。電磁波はその周波数によって性質が異なり、光やX線なども電磁波の一部です。電波とは、電磁波のうち周波数が300万MHz以下のものを指します(Mはメガと読み100万倍を表します。つまり、1MHz=100万Hz)。

このように、音と電波はどちらも波なのですが、性質や周波数がまったく異なる波です。そのため、電波を使って音の信号波を運ぶためには、2つの波を上手に組み合わせなければなりません。
ラジオ放送で、音の信号波と音を運ぶ電波の組み合わせの仕方には、大きく分けて次の2つがあります。

1つは、図1のように、電波の振幅を音の信号波に対応させて変化させる方法です。このような方法は、電波の振幅を使って音を運ぶので、「振幅変調」と呼びます。「振幅変調」とは聞きなれない名前ですが、ラジオのAMとは、これを英語で表したAmplitude Modulationから来ています。

そしてもう1つは、振幅を変えずに、電波の周波数を信号波に対応させて変化させる方法です。電波の周波数を変化させるというのは、図2のように、音の信号波に合わせて、波の山と谷の間隔を粗くしたり密にしたりすることです。周波数を変調しているので、この方法を「周波数変調」と呼び、英語のFrequency ModulationからFMと呼ばれています。

ラジオのAM、FMとは、音を電波で運ぶ方法のことだったのです。
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このように、音は、AM波やFM波という形で電波に組み合わせることで、遠くまで運ぶことができます。
放送局から届いたAM波やFM波をラジカセで再び音に変え、ラジオ放送を聴くことができるのです。

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<参考文献>
中山 章著『ラジオ・テレビのABC』(オーム社)
山本明利、左巻健男著『新しい高校物理の教科書』(講談社ブルーバックス)
浅見伴一著『図と式で理解する FM入門』(財団法人 電波振興会)

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